「若手日本語教師派遣プログラム」でマレーシアに派遣されました

山田智子さん

私は今、マレーシアに滞在しています。「21世紀東アジア青少年大交流計画」の一環である、「若手日本語教師派遣プログラム」というプログラムで派遣されました。10ヶ月間の派遣プログラムです。

大学院の修士課程を修了し、一般企業で社会人経験を約3年半しました。私にとっては、念願の日本語教師の初仕事です。

現在、ジョホール・バルの一般女子高等学校で現地の先生と一緒に日本語の授業を担当しています。授業形態は、ティーム・ティーチングです。ティーム・ティーチングの経験は、個人教授ではありましたが、クラスでの経験は初めてなので、毎日試行錯誤しながら進めています。

山田智子さん 派遣校日本語教室にて

山田智子さん 派遣校日本語教室にて

マレーシアの中等教育は、大きく分けて2つに分かれます。1部制または2部制(朝のクラス、昼のクラス)のデイ・スクールと全寮制のレジデンシャル・スクールです。私が派遣された学校は、デイ・スクールで2部制の学校です。

授業は、朝7時半から始まります。日本語の授業は、昼のクラスの生徒は午前中に、午前中のクラスの生徒は午後に受講しています。これは、日本語の科目が正規の時間割に組み込まれていないことが原因です。日本語の科目は、マレーシアの全国統一試験(センター試験のようなもの)の教科に入っておらず、正規の授業枠に入れることが難しいようです。よって、現地の先生が独自に授業時間を指定しています。

授業は、Form1(中1相当)、Form2(中2相当)が1時間の授業で週2コマ、Form3(中3相当)、Form4(高1相当)、Form5(高2相当)が2時間連続で週1コマあります。教室は、日本語教室が設置されているのでそこを使用しています。

主教材は、Form1-Form4ではマレーシアで発行されている教科書を使用しています。Form5の授業は、日本文化を取り扱うため、毎週様々なものを用意します。今までの授業内容例は、おりがみを使った模型(箱庭)作り、日本の高校生の生活、日本の学校行事と派遣校との比較、日本料理の紹介、日本料理の実習などです。文化紹介の授業は、日本人である私への期待が大きく、メインティーチャーを担当しています。

授業は、大半がマレー語で進められます。よって、子ども達が日本語を使う機会はほとんどありません。だから、はじめのうちは私と話すことを怖がっていました。どうやって今まで習ったことを使えばいいのか分からないようです。また、日本語を聞く機会がほとんどないことから、私が既習のことばを使って話してもほとんど通じないこともありました。

しかし最近は、なんとか頑張って日本語を話そうとしてくれる生徒が増えてきたように感じます。日本語を受講していない生徒も、日本人の私に興味を持って英語やマレー語で話しかけてくれます。日本語教室には、日本のおもちゃを置いているので、それを使って楽しそうに遊んでくれる生徒もいます。また、最近始めた日本の盆踊りの授業に参加したいという生徒も徐々に増えてきました。生徒達は本当にかわいいです。宿題ができなかったり、発音がうまくいかなかったり、習った単語も忘れてしまったりしていて大きな進歩は見られませんが、私が彼女達にできることを精一杯したいと思います。

現地の先生は、ベテランの大変優秀な先生で、一緒に授業に入ると勉強になることが多いです。いいところをたくさん吸収したいと思います。一人で授業することは、これからもたくさんあると思いますが、ティーム・ティーチングの経験は、貴重な経験になります。お互いの文化背景が異なるため、ぶつかるときもありますが、2人で作り上げられる授業もあります。協力してこれからも授業に取り組みたいです。

生活面では、他の教科の先生とも仲良くなり、休日に一緒に出かけたり、いい関係を築けました。みなさんにいつも助けられて本当に感謝しています。慣れないことはたくさんあります。マレー語もまだまだ勉強しないとついていけません。でも、せっかく縁あってマレーシアに来たので、マレーシアを楽しみ、相互理解を深めていけたらいいなと思っています。残りの7ヶ月間も充実した生活を送れるように、健康第一でがんばります。