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2008メキシコ長期研修体験報告集

メキシコで『一期一会』を知る

スペイン語学科二年 片岡優介さん

 僕は、拓殖大学二年生の夏休みから長期留学プログラムに参加し、メキシコに来ています。
 こちらではほとんどの授業で自分の意見が求められます。最初は聞くのも話すのも難しいことばかりでした。しかし、先生方がわかりやすく教えてくださるので徐々に馴れ、やがてスペイン語力が伸びてきたのが実感できるようになりました。

 授業内容の面白いところもメキシコ留学の魅力の一つです。salsaやteatro(演劇)、baile tradicional (民族舞踊)の授業まであります。僕はsalsaと演劇の授業を選びました。スペイン語で演劇をするのは初めての体験でしたが、みんなからたくさんの拍手をもらい、心からの満足感を味わうことができました。

 また、人々が親しみやすく、親切なこともメキシコの魅力です。
 家の近所の人達まで僕を家族の一員のように可愛がってくれます。たくさんのメキシコ人の友達もでき、一緒にfiesta(パーティー)に行ったり、サッカーなどをして余暇も楽しく過ごすようになりました。

 メキシコにはいろいろな国から留学生が来ているので、外国人と交流する機会も少なくありません。僕の場合は、ある韓国人との出会いが一生忘れられない経験になりました。

 メキシコに来て最初の2ヶ月間はTaxcoという小さな町での生活でした。
 そこでは、韓国人の友達とルームシェアしていました。彼もスペイン語を勉強していて、歳も近かったので僕達は兄弟のように親しくなりました。
 毎日、どこに行くにも一緒でした。いつも笑い合って、時には喧嘩して、そして、いつしかどちらかの部屋で毎晩話すのが日課となっていました。もちろん二人の間の共通語はスペイン語。僕にとってスペイン語を話す最高の環境です。もちろん、お互いにスペイン語が完璧に話せるわけではありません。しかし、どんなに間違ってでも精一杯伝えようとする彼の姿勢とても印象的でした。コミュニケーションを取ろうとする意欲が何よりも大切なのだと教えられた思いでした。
 そして、ついに、その韓国人の友達と別れる日がやってきました。僕は空港で笑って送り出そうと思っていました。ですが、彼に「ありがとう、兄弟」と言われた瞬間、不覚にも涙が止まらなくなってしまいました。

 『一期一会』とは、一生に一度しかない出会いのことですが、この言葉の意味を本当に実感したのはメキシコに来てからです。


■ 写真:クラスメートと一緒に



出会いの国メキシコ

スペイン語学科二年 佐久間優太さん

 みなさん初めまして。メキシコで留学生活を送っているスペイン語学科の佐久間優太です。
 皆さんはメキシコ留学に感心がありますか。僕は、人とは違う経験をしてみたくて、そして、メキシコの人々の暮らしぶりが知りたくて、この留学プログラムに参加しました。

 留学前はメキシコについて、ある程度予想して準備したつもりだったけれど、実際に来てみると、いろいろな点でずいぶん違っていました。

 まずは気候です。てっきり朝から夜まで暑い国なのだろうと考えていました。しかし、実際は地方によって気候はずいぶん違っていました。今住んでいる地域では朝方は冷え込んで上着がないと厳しいのに、昼過ぎにはポカポカ陽気で、半袖の服で十分過ごせるようになります。そして、夜になるとまた冷え込んで朝の気温に逆戻り。そうかと思うと、リゾートの海岸地帯では、一日中温かい地域もあります。このようにメキシコの気候は地域によってずいぶん違うのです。

 そして僕にとって一番貴重な体験は、なんと言ってもメキシコで様々な人々に出会えた事です。メキシコ人だけではありません。韓国、台湾、アメリカ、ブラジル、フランス、ノルウェー、イギリス、ドイツなどなど、ほんとうにたくさんの国籍の人々と知り合うことができました。僕と彼等は違う国に生まれたのに、スペイン語のおかげでつながることができたことが最高の喜びです。

 コミュニケーションとは不思議なものです。スペイン語でどう伝えればいいのかわからなくても、なぜか相手の言いたいことがわかってしまうときがあります。大切なのは相手が何を言いたいのか、一生懸命につかもうとする姿勢を見せることです。そうすると相手も自分の事を理解してくれるのではないのかなと思います。僕にとって彼等は大切な友達になりました。日本に帰ってからもずっといい関係を保っていきたいと思っています。


■ 写真:テオティワカンにて



アカプルコの家族

スペイン語学科二年 富所みのりさん

 私がメキシコに根を下ろして早くも6ヶ月目に入りました。最初の2ヶ月間はタスコという小さな街に住んでいました。銀で有名な街で、石の歩道は歩きにくく、天気も不安定で、突然、雷雨がおそってくるような場所でした。でも、私はタスコの町並みやお祭りが大好きでした。
 朝、9時から始まる授業に間に合うようにコンビ(小さな乗り合いバス、4ペソ=40円)に乗り、15分かけて学校に向かいます。ちょっとした山の中にあり、外からは大学とは思えないのですが、中に入ると、おとぎ話の家みたいなかわいい木製の教室がいくつもあり、まるで自然の中にいるようです。12時に授業が終わりますが、決まってカフェテリアでお昼ごはんを食べていました。そこで働く夫婦とその子供たちと仲良くなり、毎日のように話したり、遊んだりしました。夜になると彼らは、タマレス(トウモロコシの粉で出来た食べ物)とアト−レ(体が温まる飲み物)を外で売ります。私たちは彼らが夜それを売るのを手伝ったりしました。いつも笑いのたえない日々をおくっていて、心からタスコにいてよかったと思っています。

 そして、今はメキシコシティに住んでいます。シティに移ってきた当初は、人の多さに驚き、東京に戻ったようで、ストレスを感じました。しかし、シティには魅力もたくさんあります。多くの美術館、博物館、教会といったメキシコの歴史や文化に触れられる所がたくさんあるのです。その中でも私がもう一度行きたい場所は、太陽と月のピラミッドで有名なテオティワカンです。唖然とするほど巨大で、すべてが別世界のようでした。15分かけて太陽のピラミッドに上り、頂上に着いたときの感動は忘れられません。

 私は、週末はいつもアカプルコで過ごします。実は、そこには私の父の友人であるメキシコ人家族が住んでいるからです。

 この家のお母さんは私をほんとうの娘のようにかわいがってくれます。
私がタスコやシティで体調を崩して寝込んだときも、電話をかけてくれ、食べ物や薬は何がいいか詳しく教えてくれます。私はいったいこれまで何度救われ、励まされてきたことでしょう。また、この家の娘さんも私には実の姉のような存在で、彼女の大学の授業に一緒に参加させてもらったり、彼女の友達とも仲良くなり一緒に出かけたりして充実した日々を過ごしています。今月は彼女のクラスメイトの結婚式にも参加させてもらいました。大勢の親戚、友人などが来て、夜遅くまで踊り、忘れられない思い出になりました。

 今は、クリスマスシーズンでまたアカプルコに来ています。家も飾り付けで華やかになり始めています。こちらのクリスマスは、日本のようにパーティをするだけではありません。カトリック信者が80%のメキシコではキリスト誕生を祝うために教会のミサに大勢の人々が足を運びます。クリスマス前の9日間はピニャータ(お菓子やおもちゃを入れた大きなくす玉で、目隠しした子が割る)を飾ったり、音楽をかけて町中を歩いたり、家族と食事をして聖なる夜を過ごします。今年のクリスマスと年末年始は、一生に一度の体験になるでしょう。今から楽しみでわくわくしています。

 私の留学生活も残り約二ヶ月になってしまいましたが、すべての友人、家族に心から感謝しています。私はいつかアカプルケーニャ(アカプルコ出身の人)になり、再びこの素晴らしい国メキシコに戻ってきたいという思いが日々強まっている今日この頃です。


■ 写真:結婚式にて

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