「暑く、熱く、厚い国、私のメキシコ」
高橋裕香子さん
部屋は見渡す限り、緑、白、赤、色鮮やかな色彩。これこそがメキシコ独特の色づかいです。大学生活4年間、私は、メキシコと共に生き、メキシコから多くのことを学びました。この国を語る時、頻繁に使われる言葉が「暑く、熱く、熱い国メキシコ」。この言葉の真の意味を体感したのが、陽気なラテンの人々に囲まれた7ヶ月の長期研修でした。語学力だけでなく、人間的にも成長する機会を与えてもらった貴重な留学体験は私の一生の宝物になっています。
メキシコ留学の魅力とはなんでしょうか。
まず、第一に、日本では考えられないほど、様々なことを体験する機会と時間があることです。基本となる共通授業は9時開始12時終了の3時間。したがって、一日の半分以上が自分の自由な時間になります。私の場合、午後は、興味の赴くまま、歴史、上級作文の授業を受講したり、英会話、メキシコ民族舞踊を習ったり、土曜日は(ボーイ)スカウト活動もしました。友人たちは、銀細工やサッカー、楽器演奏などに取り組んだりしていました。留学ではこのように、だれもが自分の興味のあることに挑戦することができるのです。時間の使い方によって充実度が増し、さらに現地の人との交流も持てます。学校では外国人の友人と学び、授業後はメキシコ人の友人と遊ぶなど、自ら積極的に行動すればするほど、留学生活は実り豊かになっていくのです。
二番目の魅力はなんといっても旅行の楽しさです。メキシコ留学の醍醐味と言ってもいいでしょう。メキシコは、日本の5.3倍もの面積を持ち、25もの世界遺産があります。週末の小旅行でも満足でしたが、冬休みが一ヶ月以上もあるので、長期旅行も可能です。私の場合は友人とメキシコシティから南一帯のマヤの遺跡や歴史的地区などを10日間バスで旅しました。おいしい郷土料理、おもしろい土産物、素敵な人々との出会いが、ただの女性二人旅を痛快な冒険にしてくれました。
三番目の魅力は現地の人々との触れ合いです。私にとってはこれが最大の魅力でした。「生きることは楽しむこと」とさらりと言ってのけるメキシコ人。彼等の生活は笑いに溢れています。時間に追われ、時に窮屈にすら感じる日本の生活とは全てが異なっているのです。メキシコに行ったことのある人はだれでもメキシコが大好きになると言いますが、彼等のライフスタイルに日本人は皆魅せられてしまうのでしょう。
私にとってもっとも嬉しかったことは、メキシコ人と家族的な絆を結ぶことができたことです。私は、ホームステイの家族に恵まれ、計3家族にお世話になり、それぞれ異なる生活スタイルを体験することができました。特に3番目の家には親しくしてもらい、家族で経営しているパン屋を手伝ったり、中学校の授業に参加させてもらったりと、普通の留学では味わえないことまで経験できました。家族との触れ合いから思ったことは、メキシコ人と日本人は、家族への愛情表現方法が全く違うということです。彼らは照れることなく愛する心を家族に伝えます。自分の家族を誇りに思い、自慢し、どこにでも連れていきます。ごく日常的な場面でも、抱き合い、言葉に出して「いつもありがとう、大好きだよ」と言え合える民族なのです。メキシコの家族は、あまり日本に電話しなかった私に対し、親の気持ちについてよく話してくれました。また、お互い悩み事を言い合って、涙を流したりすることもありましたが、深い話ができるほどにまで親密になれたことは一番大切な思い出となりました。ちなみに今回の写真は、私の誕生日に親戚一同が集まって祝ってくれたときのものです。とても大好きな家族で、留学から2年後の卒業旅行にも、またメキシコに会いに行きました。今でも電話やプレゼントが届きますし、メールもしています。この家族とは、大好きな日本の家族との絆が切れないのと同じで、たとえ同じ人種ではなくても、血が繋がっていなくても永遠に私の家族です。最高の出会いでした。
メキシコから戻ってきたのは大学2年の学年末でした。3、4年では留学で向上した語学力を活かし、さらに楽しんで勉強することができました。外国人の先生との弾む会話、教材で見る懐かしの映像から学習意欲が倍増するなど、「趣味が大学です」と言えるようになったのも、メキシコ留学のお陰です。
留学は非日常的です。でも、その国の日常に生きることができます。大学生は時間があります。でも、その時間をどう使うかは自分次第です。せっかく大学が用意してくださった長期研修プログラム。100%活用し、誰にも負けない大学生活を送ってください。留学がマイナスになることはありません、必ず今後の人生の糧になるでしょう。
