HOME外国語学部スペイン語学科卒業後の進路

海外で活躍した・している卒業生

2000年卒業 林 絵美 さん

プロの通訳者を目指して

 皆様、初めまして。私は現在メキシコのアグアスカリエンテス在住で、日系現地進出企業と契約し、自動車関連の通訳者として働いています。それに加えて、スポーツチームの通訳も務めており、スポーツの国際大会が行われる際には、外国チームの通訳者として、年に数回、日本でも仕事をしています。今回は、私がなぜこの道を選んだのか、そして通訳という仕事に対する現在の考え等をご紹介したいと思います。

 最初の第一歩はメキシコ長期留学体験でした。私は、大学3年次、拓殖大学の充実した留学制度を利用して、メキシコに渡りました。そこでの生活があまりにも魅力的だったので、最終的にメキシコで就職することに決めました。せっかく何とか話せる様になってきたスペイン語をここで止めたくないという執着も強かったと思います。そこで、卒業後は再度メキシコに戻り、現地の旅行会社に就職しました。その会社には合計3年勤務しました。

 その後、たまたま知人からの紹介で、日本で2003年のバレーボールのワールドカップで外国チーム付きの通訳をする機会を得ました。本格的通訳の経験はこのときが初めてでした。かつての仕事では感じたことのないほどのやりがいを感じたのもこのときです。しかし、同時に痛感したのは通訳の仕事の難しさでした。語学がある程度使いこなせて自分のためのコミュニケーションができるのと、一瞬の音声を聞きとり、他の言語に正確に置き換える通訳者のレベルは全く違います。本物の通訳者になるにはまだまだ力が足りないことを実感したものでした。そこで、プロの通訳者を目指して、メキシコに再び戻り、現地採用の需要が多い日系企業で通訳をして経験を積むという選択肢を選ぶことにしました。その頃は、日墨自由貿易協定締結直前で、日系の企業の現地進出が益々活発になりそうだとささやかれていた時期で、通訳の場数を踏むには最適の環境だと考えたからです。

 現在は、メキシコと日本の二カ国で通訳の仕事に携わっています。
 メキシコでは、車の部品メーカーでの会議の通訳と翻訳が主な業務です。会議は数名のものから大規模なものは数十名に至るものもありますが、社内の重要会議などは経験のあるベテラン通訳者の先輩が務めるため、経験の浅い私はまだまだ出番が少ないです。母国語を異にする二者が同一理解をするための役割を担うため必然的に発言は日本語とスペイン語と半々になっています。

 日本での仕事はスポーツの世界大会での通訳です。外国選手団に完全同行し、日常のささいなことからテレビのインタビューや記者会見の通訳も入ってきます。(ちなみに練習中にはボール拾いをしたり、選手の忘れ物を取りに全速力で走ったりすることもあるんですよ。)会見などの場で、日本語での発言を監督や選手にスペイン語に訳すのは小声ですが、その逆にスペイン語から日本語に訳すときは、自分がマイクを持って訳を出すので、正しい日本語が求められます。

 通訳者という同じ立場であっても、仕事を行う国や場面が違うと、二言語間を往復するという通訳としての基本的な役割以外にも求められるものが違ってきます。私はメキシコと日本という二カ国で仕事をするメリットを活かして、それぞれの環境でできるだけ多くのことを吸収できるように努めています。メキシコでは自分にとってあくまで外国語であるスペイン語力をたえず向上させる努力を怠ることができません。また、自動車部品の技術的知識に関する継続的な勉強も必要です。日本では原文のスペイン語をいかにわかりやすく正しい日本語に通訳するかを常に心において仕事をするように努めています。どの仕事も同じでしょうが、通訳においても、学ぶということに関して終点は一生ありません。

 「スペイン語学科を専攻した理由は?」と聞かれることがよくあります。人それぞれでしょうが、私の場合、実は、特に明確な目標も留学の願望もあまりない状態でスペイン語学科に入りました。しかし、スペイン語学科のカリキュラムで勉強しているうちに、いつの間にかスペイン語が本当に自分の人生には欠かせないものになり、最終的にこういう道を選んでしまいました。拓大スペイン語学科の特徴は、基礎から集中的にスペイン語を学ぶことができ、進むにつれ、望む人には自ら世界を広げていくきっかけを提供してくれることです。語学だけにこだわらない道ももちろん沢山あると思います。でも、語学を学ぶことによって身に付く広い視野や思考方法は、どんな分野にもきっと役立つものです。みなさんも、スペイン語学科で、自分の人生にとって大切なものを是非見つけて下さい。



■写真: 2006年世界バレー アルゼンチンナショナルチームと

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