平成29年度 学校法人拓殖大学総長 入学式祝辞

平成29年度 学校法人拓殖大学総長 入学式祝辞

平成29年4月4日
学校法人拓殖大学総長 森本 敏

志をもって本学への入学という難関を突破し、本日の入学式に臨まれた皆さんに対し衷心よりお祝いを申し上げたいと思います。

本学は明治33年、西暦1900年にその歴史がはじまり、来たる東京オリンピック開催の2020年に創立120周年を迎える長い歴史と伝統を有する由緒ある大学であります。その設立の趣旨は創立以来、一貫して、世界と国家の発展のために尽くしうる有為な人材の育成にあります。

すでに本学を卒業した14万6千人を超える皆さんの先輩が国の内外で活躍しており、その評価はますます高く、皆さんのような若い人材がそのあとに続くことに強い期待を抱きつつ、日夜、その職務に励んでいるところです。

本学としては皆さんを迎えるに当たり、建学の精神に基づいて教育目標を定め、皆さんが国際性、専門性、人間性を備えた有為な人材となることを目標として学業に精励できるよう、また、皆さんの広範な要望と期待に応じられるよう具体的なカリキュラムを作成して教育に当たる体制を整えてきました。

皆さん、一人一人は本学で勉学に励む間に自ら成し遂げたいこと、果たしたい夢など具体的な目標をそれぞれに抱いていることと想像します。その当初の目標と気概を忘れることなく、自らを厳しく鍛え、その間に真の友人を作り、将来、社会に貢献するに当たり、誠に必要とされる卓越した資質と広範な見識や専門的技能を十分、身に付けるよう努力されることを強く希望します。

皆さんは既に、十分、気が付いていることと思いますが、人間の住む社会は現在、急速に変化しつつあります。この10年の間に起こった変化は過去100年の変化に匹敵するとも言われています。グローバル化と言われる現象は既に我々の社会構造や生活様式までも急速に変貌させつつあります。情報・通信やインターネット化、ロボット化、人工頭脳は人間の概念をも変化させつつあり、今や世界は第4次産業革命の真っただ中にあります。現在、皆さんが日常生活で目にするいくつかの現象やモノも卒業時に存在するとは限らないと思います。現在、存在する職業のいくつかも卒業時には消滅していることが想定されます。こうした変化に対して常に柔軟に対応し、なお、社会の第一線で活躍する有為な人材になるためには本学在学中にどのような心構えと研鑽が必要となるでしょうか。本日の入学式に当たり、そのいくつかについて所信をお話したいと思います。

第一は、学生生活を送るに当たり、自分の目標を具体的に決め、それらを確実に実行していくことです。先ほど、皆さんに当初の目標を忘れることなくと申し上げましたが、現実には各人の目標は勉学が進むにつれて変化し、入学時には考えてもいなかった目標が自分の前に現れることになるかも知れません。それは、それで良いと思います。ただし、その目標の一つ一つを確実に実現していく努力こそが求められています。目標に対する追求を通じて自己の信念と主張を確定していくことが必要であると考えてください。

第二は、語学を習得することです。外国語学部の学生諸君にはこの点について強調する必要はないと思いますが、それ以外の学部生は是非とも英語を書いたり話せたりする能力を十分、身につけてください。これは社会に入って必ず必要になる素養です。出来れば東京オリンピックの際、外国から来る人におもてなしが出来るような機会を自ら探し求めて、それまでに習得した語学の素養を生かしつつ、日本のために活躍していただくことを期待します。

第三は、本学において就学中、必ず、外国の研修を体験してください。出来ればアジア諸国のどこかに行き、現地の学生と交流するという体験をしてください。本学にはこれを推奨し、援助する仕組みを十分、用意してあります。外国研修を希望する学生は、その8割以上が希望を叶えられるようになっていると思います。外国の研修を通じて皆さんの視野が全く変化します。ただ、その成果を出来るだけ大きくするためには、研修に行く前にその国の歴史や習慣を十分学んでから訪問して下さい。これは学生の海外研修にとって必須の見識です。

第四は、日本の近代史・現代史を勉強し直してください。これは日本人にとって最も不足している素養の一つです。正しい歴史観を持って物を見て、物を語ること。これは社会がどのように変化しようとも必ず身に付けるべき基礎的知識であることを生涯にわたって忘れないで下さい。自分の国の歴史をよく知らずに他国のことを語ることはやるべきではありません。

第五は、社会貢献の体験をしてください。被災地のボランタリー活動でも良いと思います。地域社会の伝統・芸能・文化活動やイベント活動に参加することも良いと思います。海外に行き、そこでの援助活動に参加することも良いと思います。遺骨収集団への参加は多くの先輩が体験をしています。社会のために自らの身を投じて他人の生き方、苦しみを知ることは人生観を変える位の意味合いを持っています。

第六は、地域社会の活動、特に、伝統・文化・芸術・スポーツ・学術・芸能・ものつくり、などの活動に積極的に参加する習慣を身につけてください。これは学生の間でないとなかなか、参加できません。卒業して社会に入るとその余裕はなくなります。年齢を経てから、地域社会の活動に参入しようとしてもなかなか入りにくいものです。学生である特権を生かして地域における活動に参加し、人間関係の輪を広げることをお勧めします。

第七は、以上のことを行う際、最も重要な素養は、コミュニケーション能力とバランス感覚です。他の人に対して正しく向き合って適切に自分の意志や、論旨を伝える能力、それはプレゼンテーションの技術と正しく話したり、書いたりできる能力、文章力と話す力、即ち、表現力です。これを簡単なことだと思っている人がいると思いますが、また、自分には十分、それくらいのことはできると思っている人は多いと思いますが、この能力と技量は結局、その人のトータルな能力を決めてしまいます。これを正しく身に付けるためには修練が必要になります。正確な知識とそれを極めて要領よく、伝える総合能力を身につけて卒業してください。その前に、この能力は就職試験を成功させるためにどうしても必要な素養です。勿論、社会に入ってから何が最も必要かといえば、それは総合的な意思疎通の能力、プレゼンテーション能力ということになります。そして、その基礎にある知識とそれを判断する優れたバランス感覚。これが皆さんの一生を決めると言っても過言ではありません。内容が良ければ表現のしかたは自分流でいいんだろうということではなく、それを適切に表現できる能力こそ現代社会に生きる人間の基礎的実力であることを忘れないで下さい。

いろいろとお話しましたが、要は、明日から皆さんは、本学の学生です。本学で学ぶ誇りと新たな希望を持って、4年という歳月を精一杯生き抜くという強い覚悟を持って、精進されることを希望し、本学入学のお祝いの言葉とします。