平成28年度 拓殖大学学長 卒業式告辞

平成28年度 卒業式祝辞

平成29年3月23日
拓殖大学学長 川名 明夫

本日、ここにめでたく拓殖大学を卒業されることになった皆さん、本当におめでとうございます。また、ご臨席の保護者の皆様並びに関係者の方々には、心からお祝い申し上げます。

さて、皆さんが今日このように無事に卒業式を迎えることができたのは、皆さん自身の努力のたまものであることは、もちろん言うまでもありません。

このキャンパスで学び考えることにより成長してきた皆さんは、ご両親、保護者や先生方の温かい目に見守られ今日を迎えることができたのだと思います。皆さんを支えてくださった人々がいたことを忘れずに、そして、その方々に対する感謝の気持ちを卒業した後も、ぜひ忘れずにいてほしいと思います。

本学は、国際大学のパイオニアとして、世界各地で活躍する数多くの卒業生を世に送り出してきました。このような先輩が培った、どのような状況にあっても困難に立ち向かい、それを克服する力と強靱な精神力は今日まで本学の伝統として脈々として引き継がれています。拓殖大学で4年間学んだ皆さんにも、この血は流れているはずです。これから社会に出ていくと多くの困難が待ち受けていることと思いますが、本学で学んだことに誇りと自信をもち、あらゆる難局に立ち向かっていってください。

皆さんを待ち受けている現在の日本の社会は、大きな転換期に立たされています。グローバル化、多極化による国際社会における我が国の存在感の低下、少子高齢化社会を迎え、生産活動の中核となるべき生産年齢人口の激減など、多くの要因が日本の未来を不透明なものとしています。

これに加えて、急速な技術革新が未来の予測をさらに困難なものとしています。世界中どこにいても必要なデータにアクセスできるインターネットが実現して、まだ30年しかたっていません。しかし、その技術が現代社会の中で必要不可欠なものになっているばかりでなく、社会全体を大きく動かそうとしています。

最近、皆さんも新聞等でご承知のとおり、インターネットを使った商品の販売、いわゆるネット通販の隆盛が物流に大きな問題を引き起こしています。これまでは、お店に出かけて物を買うということが主流でしたから、消費者がみずから買ったものを自宅まで持って帰るということが普通でした。しかし、ネット通販では、消費者はネットを使って物を購入し、商品の配送はいわゆる宅配便等が受け持つことになっています。しかし、ネット通販の急激な増加により、そのしわ寄せが物流の部分に移って、宅配を扱う人たちの労働強化といった社会問題にまでなっているわけです。

このインターネットは、さらに進化を遂げつつあります。現在のインターネットは、コンピューターを通じて人と人をつなぐだけではなく、物と人を、物と物をつないで情報のやりとりをすることさえ可能です。この物と物をインターネットでつないだものが、今よくいわれているIoTと呼ばれるものです。IoTを使うことにより、実際に動いているものからたくさんのデータを取り出し、そのデータを分析し、処理し、その状態を把握して、最適な条件で物を動かすということが人の手を借りずにできるようになっています。

例えば、自動車の自動運転、工場における無人運転など、多くの分野でこの技術が取り入れられているわけです。このデータの分析、処理、判断をする部分が人工知能、いわゆるAIと呼ばれるものです。この実態はコンピューターなのですが、コンピューター技術と情報処理技術の進展により、コンピューターが人間の脳と同じようなことができるようになってきたのです。

これまでのコンピューターは、「ゼロ歳から20歳までの知能はもたずに、20歳以上の知能のみもっている」という非常に偏った知能システムだといわれています。しかし、最近では「ゼロ歳から3歳程度までの知能をもつシステム」になってきたといわれています。コンピューター技術と情報処理技術が進歩し、コンピューターが本当にゼロ歳から20歳程度までの知能をもつようなシステムになると、人間の脳と変わりなくなり、これまで人間が行っていた多くの仕事をコンピューターが行うことが可能になります。現在でも銀行の案内業務の一部には人工知能が使われておりますし、多くの分野で人間にかわって仕事ができるようになってきているわけです。

これまで述べたグローバル化が進み、AIやIoTが進展し、日本の少子高齢化が急速に進んでいったとき、日本の社会がどのように変わっていくのか、今のところ誰も予測できません。

それでは、このような予測困難な時代を皆さんが生き抜いていくためには、何が必要なのでしょうか。「未来を予測する最善の方法は、自らそれをつくり出すことである」という米国の計算機科学者、アラン・ケイの言葉があります。つまり不透明な時代を生き抜いていくためには、自らの道は自らつくり出すのが最善であるということです。

グローバル化が進み、AIやIoTの技術が進んでいく中で、多様な人々と協力しながら、主体性をもって、自らの人生を切り開いていくといったことができるようなタフな人間力が必要です。

皆さんは、この4年間、拓殖大学でいわゆる学問を学んだだけではなく、課外活動やボランティア活動などを通じて、多くの先輩、友人とともに活動し、タフな人間力を身につけたことと思います。拓殖大学で学んだことに自信と誇りをもち、この予測不可能といわれている未来に向かって、自らの道を切り開いていってほしいと思います。皆さんのこれからの活躍を期待し、私の告辞といたします。