平成30年度 学校法人拓殖大学総長 入学式祝辞

平成29年度 学校法人拓殖大学総長 入学式祝辞

平成30年4月4日
学校法人拓殖大学総長 森本 敏

本日、本学への入学試験という難関を突破し、晴れの入学式に臨んだ皆さんに衷心よりお祝いの言葉を申し上げます。

本学は明治33年、西暦1900年にその歴史が始まり、来る2020年の東京オリンピックが開催される年に創立120年を迎える歴史と伝統を有する由緒あ る大学です。

その設立の趣旨は本学創立以来、一貫して世界と国家の発展のために尽くしうる有為な人材の育成にあります。既に、14万8000人を超える本学卒業生が国の内外において活躍しており、その評価はますます高く、その後に続く皆さんに期待するところ、また、大なるものがあります。

既に、あらゆる機会に広く言いつくされているところですが、我々が生きている社会は急速に発展する第4次産業革命を迎えており、人工知能やIOT、ロボット、無人システムなど急速に進展しており、各種の先進情報技術を駆使しなければ生きていけない環境に直面しています。とりわけ、人工知能(AI)は人間の頭脳ではなしえない分野の仕事を賄う重要な役割を果たすようになり、これが、我々のライフスタイル、社会分業のあり方を大きく変えることになると思います。しかし、だからといって人工知能が人間のもつすべての機能を果たすことはできず、相変わらず、人工知能を活用するのは人間であるという環境条件が広がっていくことになりましょう。このような環境が生れると人は、今以上に、自分の個性や特色を生かしつつ、自分なりの価値観を模索していく必要に迫られています。これから学部あるいは大学院において学ぶ数年間は皆さんが卒業後に実社会に参入するまでの試練の時であり、自己の運命を切り開くための貴重な時間であります。自らに厳しい試練を与え、その試練に耐え忍ぶことを学んで下さい。大学は学問の場です。皆さんには人生の中で最後にまとまった勉学の機会が与えられます。これをどのように有効に使うかは皆さんの一生を決定づけると言っても良いと思います。人生とは学びながら生きていくということに尽きます。目の前に現れる事象の裏にある真実、人間生活を動かしている原理原則を学問的に理性的に学ぶよう心がけてください。ただ、大学は知識だけを教えるところではありません。知識の根底になる事象の真実を左右する理論を学びつつ、それを実社会に応用する基本的なトレーニングを受けるところです。一方、皆さんは学問の道を進むかたわらで、自分の人生目標をじっくりと模索してください。いずれにしても、これから数年に及ぶ時間をどのように使うかが、これからの皆さん一人一人の運命を決めることになると思います。そこで、本日は入学式にあたり、これからの学生生活を過ごす間に是非とも心がけていただきたい諸点についてお話したいと思います。

第一は、皆さんが大学に入って最初に取り組むべきことは履修科目を適切に選択することです。履修科目の選択は自分の学生生活のパターンを決めてしまうことになるため、よく考えて適正に進めていただく必要があります。科目選択のコツについて分からない場合には自分で勝手に判断せずに、先生方、上級生や友人に十分聞いてから決めるようにしてください。この際、私が強調したいことは科目を選択して単位をとることに専念するのではなく、各科目が持っている命題の本質を理解し把握することが肝心であるという点にあります。大学の学問とはこの科目ごとの命題を体系的に習得することの積み重ねであると思ってください。1科目から必ず、1つ以上の学問的知識と教訓を習得すること、これが学科を履修する際の心構えです。

第二は、大学の学問とは授業を受け、知識を習得し、科目が持つ命題を習得するだけではありません。その間に自分があらゆる物事について他の人に対して説得力のある形でプレゼンテーションができる能力を身に着けることが何よりも重要です。論理的に一貫性のある説明を明確な自分らしいやり方で、しかも正しい日本語を使って、他にプレゼンできる能力こそ現代社会において最も求められる資質であります。これは特に、社会に参入する際の就職試験だけでなく、社会生活や家庭生活の中でも人間関係を円滑にすすめ、その中で重要な役割を果たせる人は優れたプレゼン能力を持っている人に限られることになると思います。従って、この面での能力や技能の向上は当然のこととして、社会に入ってから自分の能力を最大限生かすために是非とも身に着けるべき技であると思ってください。

第三は、学生生活は皆さんが考えている以上に忙しい生活の連続になると思います。その中から時間を探し、自分が生涯を通じて豊かな生き方をするための趣味・スポーツ・特技・技術・クラブ活動・語学など、一生をかけて精進することの出来るもの、他人に誇ることのできる特技を探し、それを身に着けて下さい。できれば、ボランティア活動にも参加してください。東京オリンピックにも何かの形で貢献できる道を探し、この又とない機会を生かしてください。それは必ず皆さんの生き方を変えることになると信じます。また、それによって苦しいときを切り抜けることができ、自分の自信と誇りを作り、多くの人を知るための一助になると思います。

第四は、在学中に是非ともアジア諸国に研修旅行を試みてください。その意思を有する学生はほとんど実現できる制度が準備されています。それは日本を知ることに繋がります。また、国際社会を見ることを通じて自分の住む世界が如何に狭いものであったかを知ることができます。卒業してからでは外国に旅行することはそれほど簡単ではありません。海外研修は大学生の特権であると思ってください。また、それを行う際、訪問国のことは当然として、まず日本を良く勉強してから行ってください。英語の能力を高めて下さい。旅行に行った国の人から日本のことを聞かれても答えられない。英語も話せないし、通じない。これほどみじめなことはありません。海外研修は結局、自分の国と自分の有り方を見直すことに繋がります。

第五は、在学中に是非とも、真の友人を作ることをお勧めします。真の友人とは付き合って自分が啓発される人のことであり、自分の向上につながる友人であることが望まれます。嫌なことを遠慮なく言ってくれる友人こそ、真の友人です。形ばかりの友人でなく生涯を通じてお互いに切磋琢磨の出来る友人を探すことが学生生活を意味あるものにしますが、同時に自分の人生を豊かにします。何十年もかけて人生を通じて心を許してつき合える真の友人を探すこと、これは自分自身も人生に厳しく向き合っていなければできない成果です。これを皆さんに心からおすすめします。

第六に、これで最後ですが、本学に在学中、本気で日本の近現代史を勉強し直して下さい。日本が今日あるのは多くの先人のたゆまぬ努力と献身のお蔭です。歴史は時間の積み重ねであり、それを学ぶことによって明日をどう生きるかを考えることができます。日本の歴史と伝統、文化と風習、そこに流れる日本人の心を理解することは皆さんが社会に貢献する場合の基礎となります。試しに高等学校の日本史教科書を購入して在学中、最初の2年で読みつくしてください。できれば後の2年で、その要点を英語で他国の人に説明できるようになることを目標にしてください。皆さんはこれにより、必ず、新しい発見をすることになると信じます。

以上、6点についてお話しました。あとは皆さんの精進次第です。真に意味のある学生生活を送られることを念願して止みません。皆さん一人一人が本日とは全く異なる感慨をもって晴れやかな姿で、この同じ場所で行われる卒業式に参列されんことを心から祈念して私の祝辞とします。