平成31年度 学校法人拓殖大学総長 入学式祝辞

平成29年度 学校法人拓殖大学総長 入学式祝辞

平成31年4月4日
学校法人拓殖大学総長 森本 敏

この度、本学への入学を果たし、新たな希望を胸いっぱいに膨らませて、本日の入学式に参列している皆さんに、衷心よりお祝いの言葉を申し上げます。また、本日の入学式にご臨席いただいております保護者の皆様方に対し、拓殖大学を代表してお祝いを申し上げたいと存じます。

さて、高等学校の過程を終えて、大学という学校教育の最高学府に入学された皆さんは、それぞれに、いろいろな抱負や期待を抱いて、本日の入学式に参列されていることと思います。

とりわけ、大学入試の試練を通り抜け、今からは自由で開放された環境の中で大学教育を受けるかたわら、大学生として部活動や社会貢献などの課外活動を通じて、見識を広めたいと考えている皆さんもおられると推察します。また、大学を卒業した後の、自分の将来に向けた道を見つけたいと考えている皆さんも多いと思います。

まず、大切なことは、入学時の抱負や目標を在学中、忘れずに精進していただきたいということです。ただ大学で教育を受けている間に自分の希望や抱負が変化してくることはありうるものと思います。考えが足らなかった、あるいは教育を受けている間に新たな触発を受け、関心も変わったということは現実問題としてありうるからです。その時はご両親や親友と相談したり、議論したりして、十分に考慮して、かねて考えていた方向をもう一度見直してみることは一向にかまわないと思います。その際、重要なことは大学という人生で最も充実した時期に、人間としての基礎を形成し、自己修養を行う機会と時間を決して無駄にしないという心構えです。社会に参入してから大学生の時に経験するに違いない失敗は許されないからです。しかし、後で振り返ると、学生時代の失敗は人生の肥やしです。むしろ失敗を恐れず勇気をもっていろんなことを経験し、多くことを学び、その教訓を生涯の糧にする心構えが必要です。

4年の年月は長いようで実は短く、最初の1年は良く要領が分からず、2年生でようやく周りが見えるようになると3年には就職活動を始める時期がきて、当初の期待や抱負をいつ実現するのかという状況になりかねません。大学生活のすべてを計画的に進め、自分が持っている具体的な目標を確実に実現して、悔いのない日々を過ごすことができるかどうかは皆さん個人の努力次第です。そのためにも最初に科目の履修計画を作る際は十分、先輩や周りの人に聞いて確実な目標を、余裕をもって実施できるように綿密に策定して下さい。もし、その履修計画がうまく実行できなかった場合には、それまでの教訓を生かして、その後の改善に努めてください。大学は学問の場であり、自己形成の場です。自分に厳しく他人の過ちを寛容に受け入れるだけの度量も培ってください。

本学は長い歴史と由緒ある伝統を引き継いできた大学です。選抜された優秀な教員と職員が皆さんの勉学と大学生活を支え、指導したりお手伝いをするために万全の態勢を整えています。何事であれ本学教職員を信頼して率直に相談することをお勧めします。

そこで本日は本学において勉学や研究に励み、友人と交流しつつ有益な学生生活を過ごしていただくために心がけていただきたい点についてお話ししたいと思います。

まず、大学の学生生活は楽しいだけに短いものです。それは先ほどお話した通りです。その際、自分が社会人となり、そして、職業に就き、家族を持ち、生涯にわたって意味のある生活をしていくに必要な基本的素養と識見を確実に身に着けるためには実効性のある計画を作り、実行するにあたっては忍耐と覚悟が必要です。また、その間、芸術・音楽などの文化活動や旅行などの趣味であれスポーツであれ自分が一生をかけて他に誇れるものを身に着けることに専念してみてください。部活動に入って活躍するのも良いと思います。ただし、これは学問のサイドワークとしての活動であり、本業はあくまで学科の勉強であることを忘れないで下さい。学業とその他の活動をどのようにバランスさせるかはすべての皆さんにとって大きな課題であると思いますが、これを間違いなく選択することも大学生活における修養の一つです。要は、この選択の全ては自分の責任において成し遂げる問題であるということに尽きます。

大学における学業については、あまりに当然なので詳しく申し上げませんが、履修科目の単位を積み重ね、卒業に必要な単位がとれたら、それで目的達成、これが大学の学問だと思っていたら、それは大きな誤りです。一つの科目からどれだけの識見と知識と原理・原則を習得できるかは皆さんの履修態度にかかっています。すべての科目には皆さんに習得してほしい学問としての目標があります。その目標を15回ほどの講義とゼミを通じて習得していただくためには、皆さんがその科目に前向きに取り組み、一つずつの科目を確実に自分のものにするという強い意欲が必要になることを理解していただきたいと思います。講義の内容を理解するだけでなく講義の前には予習をしたり、関連の資料や書物を読んだり、講義を担当する教員の学識に触れて、できる限り広い知識と高い識見を吸収する心構えが必要です。

本学は世界に進出して活躍できる人材の育成を教育の重要な方針としています。この方針にそって皆さんの勉学の方向を考えると、できれば本学在学中にアジアの途上国への研修旅行を実現していただきたいと思います。在学中にその意思を実現し海外研修を行ってきた学生は沢山いますので、担当教員の指導を受けていただければよいと思います。

その際、申し上げておきたいことは海外に出て研修するということは自分の国を知るということにつながるということです。外国に行って外国の学生と交流する際、自分の国とは何か、いかなる歴史を経て成り立ってきたか、研修に行った国といかなる関係にあったか、自分の国はどのような課題に直面しているのかをできる限り学習して、相手に説明したり、意見交換ができるよう研修することを希望します。

そのことを考えると大学期間中に是非とも身に着けていただきたい学問的素養は政治・経済・社会の原理・原則のほかに、語学と法律と歴史は必須の科目です。もちろん、その他に重要な履修すべき科目は多いのですが、社会人になってから語学と歴史と法律の素養が少ないと困るのは皆さん個人であることを考えると少し、私自身の偏見があるかもしれませんが科目として選択する機会がなかった場合には独力でも良いので在学中に是非とも身に着けてほしい科目であることを強調しておきたいと思います。

また、科目ではありませんが学生としてというより現代社会に生きる人間として他人と交流をするときの高度なコミュニケーションとプレゼンテーションの能力を身に着ける修練をしてください。他人に要点を要領よく説明すること、他人を説得して自分の考えを理解させる技をもつこと、論理を尽くして冷静にふるまい、他人に負けないディベートの能力を身に着けること、これらは社会に参入した場合、個人の能力の大きな尺度になります。就職試験を切り抜けるために必要です。社会人になればもっと重要になります。この能力を身に着けるのは卒業してからでは遅いのです。学生時代にこれらの能力を鍛えぬいておくことは最も重要な試練だと思って自分を訓練してください。

また、皆さんはこの能力をフルに使って学生時代にボランティア活動に参加してください。オリンピックの際には進んで奉仕活動に参加してください。自分の出身地である地域社会の伝統文化や社会奉仕や環境・介護・福祉あるいは、被災地支援・復興活動などの諸活動に進んで参加してください。これができるのも学生の特権です。利益や報酬を求めず、社会の求める活動に参加して、人間は初めて他人の生き方や苦しみを理解することができます。これは社会人になってから極めて重要な体験となります。社会を見る目が変わります。これを是非体験してください。

特に、皆さんに強調したいことがあるとすれば、それは大学生として学ぶ間に真の友人、即ち、親友を探すことをお勧めします。親友とはいかなる時にも胸襟を開いて真実を相談できる真の友のことです。他人をほめるのではなく親友に嫌なことでも遠慮なく正しい忠告と助言をしてくれる友のことです。苦しい時も悲しい時も気持ちを共有してくれる友のことです。一緒に遊ぶだけでなく自分を啓発してくれる友のことです。これらの条件を満たさない友人は単なる友人であり、これらの条件を満たす友人を真の友人、即ち、親友と言うのだと思います。生涯にわたって苦楽を分かち合える親友を見つけることができれば皆さんにとって学生生活は一層意味あるものとなります。

老婆心ながら、申しあげるべきことは学生には自由があるということをはき違えないようにしていただきたいということです。自由にはそれに応じる責任が伴います。欧米社会では大学生は自己責任を果たしうる身分であるという扱いを受け、それが社会常識になっています。日本でも法律上も社会的にも大学生は大人と何ら変わりませんが、要は大学生にその意識が十分に備わっているかどうかです。大学生は自分の行動に一切の責任を負う立場にあることをよく認識して振る舞い方を考えるようにしてください。年少者の違法行為を見たら、たしなめる勇気を持ってください。自分の挙措容儀をただし、社会人として十分心得るべき礼節を重んじて日常生活を振舞ってください。

最後に、皆さんが本日、この入学式に参列している晴れやかな姿を一番喜んでいただいているのは間違いなく、ご両親、ご家族の皆様に違いありません。この両親の深い愛情を皆さんは生涯忘れることなく、これから自分の決めた目標に向かって精一杯、努力し、二度と戻ってこない学生生活を悔いなく過ごしていただくよう精進されんことを願ってやみません。

皆さんが、本学での履修をすべて終了し、晴れやかで立派に成長した姿を見て、そろって卒業式に参列できるよう皆さんのご健闘を祈りつつ祝辞とします。