第1回安全保障総合シンポジウムを開催しました
掲載日:2025年05月20日
2025年5月17日(土)に海外事情研究所主催で第1回安全保障総合シンポジウム「激変する世界情勢と日本外交―トランプ体制下の朝鮮半島・ウクライナ-」を開催しました。
パネリストとして、杉山晋輔元駐米大使、倉井高志元駐ウクライナ大使、平岩俊司南山大学教授、森本敏本学顧問・元防衛大臣をお迎えし、佐藤丙午海外事情研究所所長が司会を務めました。
はじめに各パネリストから、世界情勢や各国情勢に対する関心事項について発言があり、森本敏本学顧問・元防衛大臣からは、日本の政治日程、トランプ政権の動き、多国間会議の日程など視点から解説がありました。続いて、倉井高志元駐ウクライナ大使から、欧州情勢とアジア情勢との関連から話がはじまり、米国のアジアへのコミットの変化、今後の米露関係の可能性などについて解説がありました。そして、杉山晋輔元駐米大使からは、第一次トランプ政権の経験からトランプ米国大統領の人柄、政治手法などについて言及があり、トランプ米国大統領の移民対策、関税政策などへの米国国内の評価、米国の日本の安全保障へのコミットの必要性について解説がありました。最後に平岩俊司南山大学教授から、日米関係と米韓関係との関係、韓国情勢と日韓関係及び、南北関係の関連、欧州情勢と露朝関係の関係、米国の北朝鮮政策の可能性について解説がありました。
続いて、米国の日本への関与を確実にするために必要な方法についてどうすべきかとの議論に進み、森本敏本学顧問・元防衛大臣から日米の防衛産業の技術協力の深化の必要性、ミサイル防衛システムでの協力強化について言及がありました。続いて、杉山晋輔元駐米大使からは米国の安全保障にとっての日本、韓国の重要性について解説があり、過去の朝鮮戦争の経験から北東アジアに力の空白を作らないことの重要性について話がありました。そして、平岩俊司南山大学教授から韓国がどのように米国の関与を確実にしようとしているかとの視点から発言があり、北朝鮮の核に対する韓国国内の世論動向、韓国で進歩派政権が誕生し、外交政策の変化した際の対米関係の可能性について解説がありました。最後に倉井高志元駐ウクライナ大使からウクライナ戦争を受けた欧州の安全保障環境の変化について、米国の欧州への関与が弱まった際の対応策についてNATOを中心に解説がありました。
最後に司会から世界が変わったのかとの論点が提起され、平岩俊司南山大学教授からウクライナ戦争における露朝関係の深化によって北朝鮮に対する国連の対応が困難になった点から世界の変化について解説がありました。続いて、杉山晋輔元駐米大使からは、戦後の世界秩序が変化しているとの視点から問題提起があり、戦後秩序に代わる新しい国際秩序を考える必要性について言及がありました。そして、倉井高志元駐ウクライナ大使からも、同盟のあり方の変化、中国、ロシアへの対応の変化の必要性について言及がありました、最後に森本敏本学顧問・元防衛大臣からこれまでの民主政対権威主義との構造からの変化、同盟の概念の変化、米国のこれまで対応からの変化などの視点から世界の変化について解説がありました。
最後に参加者からの質問の時間がありましたが、各パネリストに対して、多くの質問が寄せられ、世界情勢に対する関心の高さが示されました。
安全保障総合シンポジウムは、その時の世界情勢に応じたテーマで実施しています。次回の安全保障総合シンポジウムにもご期待下さい。






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