拓殖大学国際協力研究機構 日・露・台共同「台湾研究」プロジェクト 第2回 国際シンポジウム
掲載日:2015年10月22日
日時: 平成27年11月28日(土) 13:30~17:00 (受付開始13:00)
場所: 拓殖大学文京キャンパスC館 4階C406教室 (東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷駅」徒歩3分)
定員: 100名
司会: 長谷部 茂(拓殖大学日本文化研究所主任研究員)
台湾は近年、国際的な孤立と内部に抱える諸矛盾を克服して、めざましい経済発展と民主化、社会の成熟化を実現した。日・露・台共同で進める本「台湾研究」は、台湾の今日の成功がどのような条件、基礎のもとに実現されたかを、地域発展の一つの事例として解明し、地域開発モデルとして世界の後発地域に提供することを企図している。
前回第1回シンポジウムでは、日本時代の台湾をその初期条件の一つとして捉え、テーマを「西洋から見た日本の植民政策」とした。今回第2回シンポジウムでは、そのテーマを掘り下げるとともに、新たに台湾発展に関わる現代の問題(TPP)を取り上げる。
プログラム
開会 | 開会挨拶 | |
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渡辺 利夫 (拓殖大学総長・国際協力研究機構長) | ||
講演 | 13:40~14:50 | |
Ⅰ.アメリカ旅行者が見た日本統治時代の台湾 1920年代 モロジャコフ・ワシーリー(拓殖大学日本文化研究所教授) |
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Ⅱ.台湾植民地の港湾開発と海面の使用権利問題―打狗(高雄)を事例として―
陳 雲蓮(拓殖大学日本文化研究所客員研究員) |
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休憩 | 14:50~15:00 | |
講演 | 15:00~16:20 | Ⅲ.台湾のTPP参加をめぐる米中日露の思惑 田澤 隆史(台湾研究家) |
Ⅳ.「鶯歌庄文書」から見る日本統治期台湾の「地方自治」の一側面
玉置 充子(拓殖大学海外事情研究所客員研究員) |
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質疑応答 | 16:20~16:50 | |
閉会 | 閉会挨拶 | 林 世英(台北駐日経済文化代表処教育部長) |
※都合により、テーマ・講演講師等が変更になる場合があります。予めご了承ください。
受講料
無料
申込(問合せ)先
〈E-mail〉
k3kikou@ofc.takushoku-u.ac.jp
〈FAX〉03-3947-2397(拓殖大学 学務部研究支援課、Tel:03-3947-7595)
※件名を[台湾研究プロジェクト第2回国際シンポジウム申込]とし、次の①~⑥を明記して、上記の〈E-mail〉または〈FAX〉にて
お申込みください。
①氏名(ふりがな)
②郵便番号
③住所
④年齢
⑤職業
⑥電話番号
申込締切
平成27年11月14日(土) [必着]
※なお、ご応募はお一人様1回限りとさせていただきます。応募者が多数の場合は、抽選とさせていただきます。
選者の発表は、「参加証(葉書)」の発送をもって代えさせていただきます。(「参加証(葉書)」の発送は、11月20日頃を予定。)
当日、「参加証(葉書)」をご持参いただき、シンポジウム「受付」にご提出ください。
その他
(1)携帯品の盗難、紛失、破損などの責任は負いかねますので、ご了承ください。
(2)車、バイク、自転車での来校はお断りします。各種公共交通機関をご利用ください。
(3)次の行為はご遠慮いただいております(受講をお断りすることがあります)。
・受講者・講師等に迷惑となるような行為 ・講義の録音および写真、動画撮影
・講義、講演の進行を妨げると思われる行為 ・勧誘、宣伝広告 等
講演者略歴・講演テーマ要旨
モロジャコフ・ワシーリー(拓殖大学日本文化研究所教授)
1968年生まれ。歴史学博士、政治学上級博士。ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員。2013年4月から現職。
「1、アメリカ旅行者が見た日本統治時代の台湾 1920年代」
1920年代、台湾を旅行したアメリカ人は何を「見せられた」のか?
日本の最初の植民地・台湾は、日本の植民政策と近代化政策を世界に知らしめるショーウィンドウであった。
専門知識を持たない旅行者の印象は、台湾統治をめぐる日本の対外プロパガンダとイメージメーキングの実態をかなり正確に反映している。
陳雲蓮 (拓殖大学日本文化研究所客員研究員)
西安外国語大学日本語学部卒。2010年京都府立大学大学院人間環境科学研究科博士課程修了、学術博士号取得。2010年4月-2012年3月日本学術振興会特別研究員( post doctor、名古屋大学) 、2012年4月から2年間、英ケンブリッジ大学訪問研究者。2014年6月から現職。専門は都市史、建築史、建築文化財保存
「2、台湾植民地の港湾開発と海面の使用権利問題―打狗(高雄)を事例として―」
1895年、日清戦争後、日清政府が結んだ「下関講和条約」により、台湾は植民地として清政府から日本に割譲された。しかし、ほぼ半世紀前の1858年「天津条約」により、打狗(高雄)と淡水は欧米人の居留地として、都市開発が許可されていた。この二つの港において、欧米人、とりわけイギリス人、スペイン人の土地、港に対する既得権がすでに確立されていた。一方、新植民地開発を急ぐ日本政府にとっては、それらの既得権の回収が急務となった。そこで、欧米諸国の政府や民間人、商会は自らの既得権を簡単に手放したくないため、日本政府、台湾総督府と福州日本領事館との外交交渉に臨んだ。
田澤 隆史(台湾研究家)
1990年拓殖大学外国語学部中国語学科卒。政治大学(台湾)ロシア研究所修士課程修了、台湾大学国家発展研究所博士課程中退。中露関係専攻
「3、台湾のTPP参加をめぐる米中日露の思惑」
TPPへの加盟を表明した台湾に対して、主権国家・台湾を認めない中国はなぜ「静観」しているのか? 中国に気兼ねして国際組織加盟への動きを拘束してきたアメリカは、なぜ積極的な支持へと「豹変」したのか? 中国の「静観」もアメリカの「豹変」も結局「米中対立」に帰する。否応なくそれに巻き込まれる台湾のTPP加盟は可能なのか?
一方、政治的なしがらみの薄いロシアが、エネルギー資源の移動輸送等の分野で台湾の新たなビジネス・パートナーになる可能性はないか? そして隣国日本は台湾とのビジネスアライアンスを構築していくことができるのか? TPPをめぐり揺れ動く国際情勢を、台湾をめぐる米中日露の思惑から探っていく。
玉置 充子(拓殖大学海外事情研究所客員研究員)
應義塾大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。2003年10月より現職(2014年3月まで華僑研究センター所属)。2014年3月~12月台湾外交部「台湾フェローシップ」フェロー、同9月~2015年2月台湾中央研究院台湾史研究所訪問学者として台湾に滞在し、日本統治時代の地方行政文書(鶯歌庄文書)を調査、研究。
「4、『鶯歌庄文書』から見る日本統治期台湾の『地方自治』の一側面」
日本統治下の台湾では、大正9年(1920)の地方制度改革によって限定的ながら「地方自治」が始まった。最基層の行政単位である街や庄において実際に運営を担ったのは日本人ではなく台湾人地方エリートであり、街庄役場では台湾総督府の方針に沿って「自治」が行われ、公文書が作成された。本報告では、1920年~1945年に台北州海山郡鶯歌庄役場で作成・保存された「鶯歌庄文書」から「庄治研究会」および「街庄事務研究会」に関する文書を取り上げ、日本統治期台湾の「地方自治」の進展の実態や台湾人地方エリートが「自治」にいかに対処したのか、また統治者である日本人との交渉の中でいかなる役割を演じたのかを考えたい。