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拓殖大学海外事情研究所附属台湾研究センター主催 台湾研究センター設置記念シンポジウム

掲載日:2016年06月21日

平成28年4月、拓殖大学海外事情研究所に台湾研究センターが設置されました。

ご存知のように拓殖大学は、明治33(1900)年に台湾の開発に献身する人材の養成を掲げた台湾協会学校として創設されました。
新設の台湾研究センターは、3世紀をまたぐ台湾と拓殖大学との密接な人的交流の実績を踏まえ、卒業生が活躍した日本統治時代の台湾の歴史研究はもとより、 近年、めざましい経済発展と民主化をとげ、日本との交流も親密の度を加えつつある台湾の現在、未来を視野においた幅広い研究を展開します。

この度、台湾から元台湾駐日代表の羅福全先生とエッセイストの陳柔縉先生をお招きして台湾研究センターの設置を記念するシンポジウムを開催することとなりました。


日時: 平成28年7月23日(土) 13:30~16:40  (受付開始13:00)

場所: 拓殖大学文京キャンパスE館1階 後藤新平・新渡戸稲造記念講堂

司会: 長谷部 茂(拓殖大学海外事情研究所附属台湾研究センター主任研究員)

通訳: 小金丸貴志(名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部)

プログラム

第一部  記念講演

予定時間内容
開会挨拶 13:30 川上高司(海外事情研究所長兼附属台湾研究センター長)
記念講演 13:40~14:30 台湾と日本のはざまに生きて
羅福全(元台北駐日経済文化代表処代表)
休憩 14:30~14:40

第二部  記念シンポジウム  日本統治時代における台湾の地方行政と基層社会

予定時間内容
基調講演
(14:40~16:10)


14:40~15:20
(40分)
.鶯歌庄文書研究の意義―同風会に関する文書から見る日本統治期台湾の基層社会
玉置充子(拓殖大学海外事情研究所附属台湾研究センター専任研究員)
15:20~16:10
(50分)
Ⅱ.日本統治時代に日本商人がもたらした台湾社会近代化の諸相
陳柔縉(コラムニスト)
16:10~16:30 質疑応答
閉会挨拶 16:30 渡辺利夫(拓殖大学学事顧問)

※都合により、テーマ・講演講師等が変更になる場合があります。予めご了承ください。


受講料

1,000円


申込(問合せ)先

03-3947-7166(拓殖大学学務部オープンカレッジ課)

定員

250名

申 込

事前申込不要。当日受付にて受講料をお支払いの上、ご入場ください。

その他

(1)携帯品の盗難、紛失、破損などの責任は負いかねますので、ご了承ください。
(2)車、バイク、自転車での来校はお断りします。各種公共交通機関をご利用ください。
(3)次の行為はご遠慮いただいております(受講をお断りすることがあります)。
 ・受講者・講師等に迷惑となるような行為   ・講義の録音および写真、動画撮影
 ・講義、講演の進行を妨げると思われる行為  ・勧誘、宣伝広告  等

講演者略歴・講演テーマ概要

第一部 記念講演

羅福全(ら・ふくぜん)

20160620taiwan_symposium01.jpg 略歴:1935年台湾嘉義市栄町生まれ。1941年に東京に移り住み幼稚園・小学校に通う。
学童疎開も経験した。戦後台湾に戻り、1958年台湾大学経済系卒業後、日本、米国に留学。
早稲田大学で経済学修士号、米国ペンシルベニア大学で博士号を取得。国連地域開発センター(UNCRD)、 アジア・太平洋開発センター(APDC)等勤務。
ハワイ大学教授、ペンシルベニア大学教授などを経て、 国連大学勤務。経済発展政策、都市問題、地球環境問題を研究、 国連で中国の持続可能な経済発展計画の作成に参画。 また日本の外務省、環境庁に協力し、各国の経済発展政策、都市環境対策に携わった。
2000年に米国籍を放棄し、台湾の駐日代表となる(2000~2004年)。
2004年に外交部亜東関係協会会長。2007年に公職を退き、現在は妻子と台北に在住。

講演テーマ:台湾と日本のはざまに生きて

2016年3月に邦訳が刊行された同名の自著(中国名『栄町少年走天下―羅福全回想録』2013年)をもとに、台湾、日本、 そして全世界に残した足跡とその波瀾の人生を、自らの言葉で回想する。
渡辺利夫拓殖大学学事顧問は、同著の序の中で「羅福全は日本の統治時代の台湾で教育を受け、後に日本と米国にわたりそこで自由と民主主義にめざめ、 台湾の恐怖政治からの解放を要求する政治活動に身を投じた。ほどなくして国連の高位ポストに就任、国連パスポートをフルに活用して、 米国最高のエコノミストの薫陶によって手にしたアカデミズムの実践知をもって、貧困国の開発に有効な政策的処方箋を次々と提供していった」と評している。

第二部 記念シンポジウム

総合テーマ:日本統治時代における台湾の地方行政と基層社会

日本統治時代の台湾史研究は1980年代以降、台湾社会の民主化とそれに伴う各種史料の公開や発掘を要因として大きく発展した。
史料の活用が進んだ結果、従来の「支配-被支配」といった単純な見方を脱して、台湾人が統治者である日本人との交渉の中でいかなる役割を演じたのか、 日本統治下の「地方自治」の進展をどう評価するか等の新たな視点からの研究が生まれている。
第二部記念シンポジウムでは、日本統治時代の台湾の基層社会の実態を、奇跡的に残された庄役場の行政文書(「鶯歌庄文書」)の分析と、 当時の新聞記事等に描かれた庶民生活のいきいきとした再現から解き明かす。

玉置充子(たまき・みつこ)

20160620taiwan_symposium02.jpg 略歴:奈良女子大学文学部卒、應義塾大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。
2003年10月~2016年3月、拓殖大学海外事情研究所客員研究員(2014年3月までは附属華僑研究センター所属)。
2014年3月~12月台湾外交部「台湾フェローシップ」フェロー、同9月~2015年2月台湾中央研究院台湾史研究所訪問学者として台湾に滞在し、 日本統治時代の地方行政文書(鶯歌庄文書)を調査、研究。
2016年4月から拓殖大学海外事情研究所附属台湾研究センター専任研究員。

基調講演①テーマ:鶯歌庄文書研究の意義―同風会に関する文書から見る日本統治期台湾の基層社会
日本統治下の台湾では、大正9年(1920)の地方制度改革によって「州―郡―街/庄」制が始まった。
最基層の行政単位である街や庄では台湾人地方エリートが運営を担い、そこには統治者の日本人の意思だけに還元されない台湾人による営為もあった。
本報告では、1920~1945年に台北州海山郡鶯歌庄役場で作成・保存された「鶯歌庄文書」から「同風会」に関する文書を中心に取り上げる。
同風会は、初代鶯歌庄長を務めた黄純青が発起人となり設立された社会教化団体であり、日本統治期の台湾の基層社会における生活改善運動の嚆矢とされる。
民間から起こった同風会は、日本の統治体制の深化にともない、活動内容や社会的機能の変更を余儀なくされた。
同風会を通して、当時の台湾の基層社会の実態について考えてみたい。

陳柔縉(ちん・じゅうしん)

20160620taiwan_symposium03.jpg 略歴:1964年台湾雲林生まれ。台湾大学法学部卒業。
聯合報(日刊紙)政治部記者、新新聞(週間雑誌)記者を経て、現在コラムニスト。
日本統治時代を庶民のエピソードからいきいきと描き、その情景を再現する手法は、「台湾のオーラルヒストリーと人物描写の第一人者」とも評される。
代表作に『私房政治』(1993年)、『總統的親戚』(1999年)、『台灣西方文明初體驗』(2005年)、『囍事台灣』(2007年)、『舊日時光』(2012年)。
2006年、2010年金鼎奨(政府出版賞)を受賞。邦訳には、 『国際広報官張超英』(2008年まどか出版、原名『宮前町九十番地』2006年)、『台湾と日本のはざまを生きて』2016年藤原書店出版、 原名『栄町少年走天下―羅福全回想録』2013年)、 『日本統治時代の台湾』(2014年PHP研究所出版、原名『人人身上都是一個歴史』2009年)がある。
『日本統治時代の台湾』は2016年、国家基本問題研究所日本研究奨励賞を受賞した。

基調講演②テーマ:日本統治時代に日本商人がもたらした台湾社会近代化の諸相

「戦前・日本統治時代の台湾で探しものをして、もう何年にもなる。......異民族による統治が行われていたあのころの台湾を旅して、 私は、日々のくらしのなか人びとが、なにを見、なにを聞き、そしてなにを体験したかを掘り下げてきた。
......気づかないだけで、エピソードの多くは今と繋がり、その心は私たちのなかにも変わらず存在し続けている。
あのころの台湾と今の台湾は繋がっている。......日本統治時代の民衆の生活は、けっして華々しく、波瀾に満ちたものではなかったけれど、 むしろ多彩で人間味あふれるものだった。」(『日本統治時代の台湾』「まえがき」より)
現代の台湾で当たり前になっていることの多くが、実は日本統治時代にすでに台湾に浸透していた。
本講演では、日本商人がもたらした商売の手法や習慣にスポットを当てる。