『日中未来遺産―中国・改革開放の中の"草の根"日中開発協力の「記憶」』 岡田 実(国際学部教授)著(令和元年度拓殖大学研究叢書) | 大学 | ニュース一覧 | 拓殖大学

『日中未来遺産―中国・改革開放の中の"草の根"日中開発協力の「記憶」』 岡田 実(国際学部教授)著(令和元年度拓殖大学研究叢書)

掲載日:2019年07月08日

日中未来遺産―中国・改革開放の中の“草の根”日中開発協力の「記憶」

中国は、昨2018年に「改革開放」40周年を迎え、世界第二の経済大国へと急速な発展を遂げましたが、その初期、"草の根"で黙々と汗を流し、農村の発展を支えた日本人たちがいたことは、日中双方の国民にあまり知られていません。
中国唯一の「日本人公墓」がある黒龍江省方正県で寒冷地稲作技術を伝えた藤原長作、中国全土でコメの増産に貢献した原正市、スイカの品種改良に心血を注ぎ、北京の人気銘柄に名前の一文字が採用された森田欣一、"一村一品"運動が中国でも広く受容された平松守彦......。
本書においては、「戦争の記憶」が色濃く残る中国で、顕著な成果を挙げた日本人4人の「開発協力の記憶」にスポットライトを当て、その軌跡を辿ることを通じ、現在を生きる我々が、未来へと伝えていかなければならない日中の「記憶」とは何かを考えます。

はじめに──日中開発協力史の中の「記憶」をめぐる諸相

第一章 藤原長作 五千人の遺骨が「日本人公墓」に眠る方正県で、寒冷地での稲作技術を中国に伝えた日本人のコメモレイション

第二章 原正市 中国全土の米増産に貢献し「洋財神(外国から来て懐を豊かにしてくれた神様)」と呼ばれた日本人のコメモレイション

第三章 森田欣一 スイカに刻まれた日中協力の「記憶」──北京市民に人気の「京欣一号」を育種した日本人のコメモレイション

第四章 平松守彦 大分"一村一品"の理念と実践経験を通じて農村の発展に貢献した日本人のコメモレイション

おわりに──「共享記憶」に向けた課題と提言

出版社

日本僑報社

発行日

2019年7月6日

著者

岡田 実(おかだ みのる)
拓殖大学国際学部 教授。東北大学法学部卒業後、民間企業勤務を経て、1988年に国際協力事業団(現国際協力機構、JICA)入職。JICAでは北京大学留学、中国事務所員、中国援助調整専門家、中国事務所副所長として約10年間対中政府開発援助(ODA)に従事した他、本部、外務省経済協力局、JICA研究所等で勤務。2010年、法政大学大学院で政治学博士号を取得し、2012-13年度法政大学法学部兼任講師。2014年度より現職。
主な著書に『日中関係とODA―対中ODAをめぐる政治外交史入門―』(日本僑報社、2008年)、『「対外援助国」中国の創成と変容1949-1964』(御茶の水書房、2011年)、『ぼくらの村からポリオが消えた―中国・山東省発「科学的現場主義」の国際協力』(佐伯印刷出版事業部、2014年)。その他、日中開発協力史に関する論文多数。