『武道文化としての空手道 武術・武士道の伝統とスポーツ化を考える』 草原克豪(拓殖大学名誉教授)著 | 大学 | ニュース一覧 | 拓殖大学

『武道文化としての空手道 武術・武士道の伝統とスポーツ化を考える』 草原克豪(拓殖大学名誉教授)著

掲載日:2019年11月15日

武道文化としての空手道 武術・武士道の伝統とスポーツ化を考える

2020東京五輪で正式種目になった「空手」のルーツと発展の歴史、日本武道の真髄を本格的にまとめた初めての本

日本武道としての空手、スポーツとしての空手
...... 空手の奥行きの深さがわかる一冊です

◎沖縄発祥の"唐手"が船越義珍によって本土に伝えられた
◎講道館柔道の嘉納治五郎は早くから唐手に注目していた
◎空手はスポーツ化され世界に普及した
◎武道とスポーツはどう違うのか
◎スポーツ化した武道は本来の武道精神を失ってしまったのではないか?
◎「武士道」を世界に広めた新渡戸稲造
◎現代武道の精神的支柱ともなっている武士道精神の究極の理想は「平和」だった
◎グローバル化時代に「空手道」に期待される役割とは?

第1章 空手はどのようにして沖縄から本土に伝わったのか
沖縄唐手を本土に紹介した船越義珍/船越の恩師:安里安恒と糸洲安恒/早くから唐手に注目していた嘉納治五郎/帝国海軍も唐手に関心を示した/講道館での公開演武が大成功/唐手の指導普及に人生を捧げる/沖縄唐手はどのようにして誕生したのか/中国拳法から発展した琉球拳法/首里手、那覇手、泊手/沖縄の学校体育に採用された唐手/琉球王国の終焉

第2章 空手はどのようにして日本の武道になったのか
『琉球拳法唐手』で技法を体系化/段位の発行/空手は大学空手部から広まった/唐手の名称を空手に変更/形の名称を和風化/体育、護身術、精神修養の三本柱/大日本武徳会の公認を得る/空手から空手道へ/船越義珍の教え:「松濤二十訓」と「松濤五条訓」/流派はどのようにして誕生したのか/松濤館流の由来

第3章 武道とは何か
「武道」とは二十世紀の概念である/武家社会の崩壊で武術が衰退/剣術師範を救った撃剣興行の人気/柔術を学んだ嘉納治五郎の場合/講道館柔道の誕生/学校体育の正課となった撃剣・柔術/柔道は柔術とどう違うか/海外に進出した柔道/武道振興のメッカとなった大日本武徳会/合気道と少林寺拳法の場合

第4章 武道はスポーツからどのような影響を受けたのか
技法や稽古法の体系化/近代スポーツはどのようにして誕生したのか/日本に伝わってきた近代スポーツ/オリンピックへの参加/日本的スポーツの特徴/競技スポーツ化した武術 /講道館ルールと高専ルール/戦時下の大日本武徳会/柔道におけるスポーツ化と国際化

  第5章 空手におけるスポーツ化はどのように進展したのか
形の体系化/組手試合に慎重な船越義珍/組手試合の導入に向けた研究/日本空手協会が全国選手権大会を実施/スポーツ化への警鐘を鳴らした中山首席師範/世界に広まった多様な流派空手/全日本空手道連盟の結成/空手のオリンピック種目化に向けて/国際ルールと伝統ルール/形と組手は車の両輪

   第6章 武道とスポーツはどう違うのか
武道とは武術をスポーツ化したもの/プレー(Play)かプラクティス(practice)か/嘉納が目指したオリンピック精神と武道精神の融合/勝って驕らず、負けて恨まず/スポーツの先にも「道」がある/人格形成は目的か、結果か/武道の基盤は武術

   第7章 武術の極意は「戦わずして勝つ」ことだった
武術はどのようにして誕生したのか/武術の流派の系譜/柔術の流派/武術と芸能/「道」を究める/修行の三段階:守・破・離/形はどのようにして伝承されたのか/極意は「戦わずして勝つ」こと/殺人刀から活人剣へ/剣禅一如/武芸の目的は自己鍛錬

第8章 武士道の理想は「平和」だった
「武士道」は二〇世紀の言葉/戦国時代の戦闘的武士道/江戸時代の儒教的武士道/『葉隠』武士道とは何か/江戸末期に広く読まれた『武道初心集』/「武士道」の名を世界に広めた新渡戸稲造/義・勇・仁・礼・誠/名誉、忠と孝/武士道は日本人の民族精神/山岡鉄舟の武士道/武とは「戈を止める」こと/文武一徳の思想/「和を以て貴しと為す」/武士道の究極の理想は「平和」/治にいて乱を忘れず

第9章 二十一世紀の空手道への期待
生涯空手を楽しむ/己に克つ/人格完成を目指す/空手に先手なし/師弟の絆/世界平和への貢献

出版社

芙蓉書房出版

発行日

2019年11月12日

著者

草原 克豪(くさはら かつひで)
1941年北海道生まれ。東京大学教養学部卒。コーネル大学経営行政大学院留学(MBA)、ユネスコ本部勤務を経て、文部省で高等教育局審議官、生涯学習局長等を歴任。退官後は拓殖大学北海道短期大学学長・兼拓殖大学副学長を務め、現在は拓殖大学名誉教授。拓殖大学では空手道部部長も務めた。2012年(公社)日本空手協会理事に就任し、2015年から代表理事・会長。(公財)合気会理事も務める(合気道6段)。 主な著書:『近代日本の世界体験』(小学館スクウェア)『日本の大学制度』(弘文堂)『大学の危機』(弘文堂)『新渡戸稲造1862-1933』(藤原書店)『新渡戸稲造はなぜ「武士道」を書いたのか』(PHP新書)『徳の教育論』(共編、芙蓉書房出版)