『民主政の赤字~議会・選挙制度の課題を探る~』眞鍋貞樹(政経学部教授)・岡田陽介(政経学部准教授)・細井優子(政経学部准教授)共著 眞鍋貞樹・岡田陽介 編著

掲載日:2020年03月31日

民主政の赤字~議会・選挙制度の課題を探る~

今日の日本の議会制度・選挙制度の中で危機的状況にあるのが各種選挙における投票率の低下現象である。また、町村議会選挙では、議員の成り手不足や定数不足による無投票当選者の増大が顕著である等々、結果として、国民・住民の政治への信頼感の喪失、また劇場型制度への嫌悪などが顕著となっている。また、EU諸国に目を転じれば、「民主政の赤字」と呼ばれる有権者の意思とEU議会における政策決定との乖離が懸念材料となっている。この「民主政の赤字」に対する処方箋を示すことは困難である。本書は、このような問題意識のもと、各執筆者が、今日の議会制度や選挙制度の見直しに向けた議論に、新たな視点から一石を投じたいとの思いで書き下ろした渾身の一書である。
目次

序章 民主政の赤字の解決に向けて(眞鍋貞樹・岡田陽介)
第1章 選挙における最低投票率制度導入の検討(眞鍋貞樹)
第2章 期日前投票制度と積極的利用者の規定要因(岡田陽介)
第3章 地方議会議員の被選挙権における住所要件・居所要件の見直し(眞鍋貞樹)
第4章 公職選挙法と選挙違反の規定要因(岡田陽介)
第5章 政党の宣伝コスト(浅井直哉)
第6章 政治的会話に含まれる異質な情報への接触機会―横断的接触が政治知識に与える効果―(横山智哉)
第7章 シティズンシップ教育―市民像の日英比較―(細井優子)
第8章 欧州議会―EUガバナンスにおける欧州議会の役割と存在意義(細井優子)
第9章 英国のEU離脱をめぐる国民投票への道―政治制度の変容と議題の設定―(福井英次郎)
第10章 韓国におけるネット選挙の「光」と「影」―若年層の政治参加の拡大と選挙違反の変化―(梅田皓士)

出版社

一藝社

発行日

2020年3月15日

著者

眞鍋 貞樹(まなべ・さだき)
1956年広島生まれ。早稲田大学法学部卒業。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。1981年9月~1990年12月民社党本部政策審議会、1991年4月~2003年4月東京都小平市議会議員、2005年4月~2010年3月東洋英和女学院大学非常勤講師。2009年4月に拓殖大学大学院地方政治行政研究科教授に着任。2015年4月より現職。近著に、『NPOのチャレンジ』(一藝社/2009年)、『閉塞社会を生きる」(山川出版社/2012年)、『地方自治の基礎』(共著/一藝社/2017年)など。

岡田 陽介(おかだ・ようすけ)
2010年学習院大学大学院政治学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。慶應義塾大学法学研究科助教、立教大学社会学部助教、拓殖大学助教(2017年4月)を経て、2019年4月より現職。投票参加を中心とした投票行動研究に従事。著書として『政治的義務感と投票参加―有権者の社会関係資本と政治的エピソード記憶』(木鐸社/2017年)、『基礎ゼミ政治学』(共著/世界思想社/2019年)など。

細井 優子(ほそい・ゆうこ)
2005年法政大学大学院社会科学研究科後期博士課程修了。博士(政治学)。埼玉大学基盤教育センター准教授を経て、2017年より現職。
ジャン・モネEU研究センター(慶應)事務次長・主任研究員を兼務。専門は国際政治、EU政治。近著に、“Japan-EU Relations after World War II and strategic partnership”, Asia Europe Journal, 17(3), pp.295-307, 『アフター・ヨーロッパ―ポピュリズムという妖怪にどう向き合うか』(共訳/岩波書店/2018年)など。