『国際機構 新版』(庄司克宏編著/岩波書店/2021年)細井優子(政経学部教授)共著

掲載日:2021年07月26日

『国際機構 新版』

移民・難民はなぜ増え続けているのか

国連、WHO、WTO等の全世界的国際機構や、EUに代表される地域的国際機構の特徴や役割・限界を、最新の政治学・法学・経済学等の見地からわかりやすく解説。核不拡散、輸出管理、テロとの戦い、移民・難民、気候変動、サイバー・セキュリティ、感染症対策等における国際機構の最新動向がわかる一冊である。
本学の細井優子・政経学部教授が第10章「移民・難民と国境管理――人の移動と国際機構」を執筆している。その中で、移民・難民の区別が近年ますます難しくなっていること、国民国家体制をとる限り強制移動民は生じるものであり難民問題が一過性の問題ではないことを明らかにしたうえで、国連やEUの取り組みと課題を考察している。

【目次】
はしがき

序 章 国際機構とは何か――なぜ存在するのか?...............萬歳寛之
 第1節 はじめに
 第2節 現代の国際社会における国際機構
 第3節 国際社会の組織化と国際機構

第1章 国際法と国際機構――どのような関係にあるのか?...............萬歳寛之
 第1節 はじめに
 第2節 国際機構の法主体性
 第3節 国際機構の権限拡大
 第4節 国際法理論の課題

第2章 国際政治と国際機構――国際政治理論から何が見えるか?...............井上 淳
 第1節 はじめに――なぜ国際政治理論を用いるのか?
 第2節 国際政治理論は国際機構をどのように捉えてきたか?
 第3節 国際政治理論はEUをどのように捉えてきたか?
 第4節 考察――現代国際社会と国際機構

第3章 通商・金融と社会問題――経済のグローバル化と国際機構...............蓮見 雄
 第1節 はじめに
 第2節 経済のグローバル化と社会問題
 第3節 グローバル経済ガバナンスの変容
 第4節 EUの経済ガバナンスの多元性
 第5節 グローバルビジネスの規範の形成と経済活動への浸透
 第6節 内外44の多様なステークホルダーに対する説明責任(アカウンタビリティ)と経済ガバナンスのEUモデル

第4章 気候変動と持続可能な発展――環境と国際機構...............和達容子
 第1節 はじめに
 第2節 持続可能な発展と気候変動問題
 第3節 気候変動レジーム
 第4節 EUの気候変動政策
 第5節 おわりに

第5章 国際感染症と公衆衛生――健康セキュリティと国際機構...............井上 淳
 第1節 はじめに
 第2節 WHOによる取り組み
 第3節 EUによる取り組み
 第4節 考察

第6章 サイバー犯罪と個人情報保護――サイバー・セキュリティと国際機構...............宮下 紘
 第1節 サイバー・セキュリティ
 第2節 個人情報保護
 第3節 サイバースペースの安全性と安定性

第7章 テロとの戦いと治安維持――市民セキュリティと国際機構...............原田 徹
 第1節 はじめに
 第2節 テロが越境性を有する契機
 第3節 国連によるテロ対策
 第4節 EUによるテロ対策
 第5節 テロ対策と人権保護のジレンマの問題
 第6節 むすび

第8章 地域紛争と危機管理――安全保障と国際機構...............小林正英
 第1節 はじめに
 第2節 国際機構の安全保障機能と安全保障課題
 第3節 冷戦後の国際安全保障と国際機構
 第4節 各国際機構の取り組み
 第5節 おわりに

第9章 軍縮・不拡散・輸出管理――大量破壊兵器と国際機構...............大下 隼・萬歳寛之
 第1節 軍縮フォーラムとしての国際機構
 第2節 核不拡散体制の検証措置と国際機構
 第3節 生物・化学兵器の不拡散体制と国際機構
 第4節 輸出管理と国際機構
 第5節 WMD問題におけるEU

第10章 移民・難民と国境管理――人の移動と国際機構...............細井優子
 第1節 はじめに
 第2節 難民・移民の定義
 第3節 国民国家と難民
 第4節 国連
 第5節 EU
 第6節 今後の課題

第11章 貧困削減と途上国支援――グッド・ガバナンスと国際機構...............井上 淳
 第1節 はじめに
 第2節 国連システムの取り組み
 第3節 国際機構の取り組みの収斂――ミレニアム開発目標,持続可能な開発目標
 第4節 EUの取り組み
 第5節 考察

終 章 国際機構の正当性と民主主義――国際機構の役割と限界...............庄司克宏
 第1節 はじめに
 第2節 国際経済統合と「民主主義の赤字」
 第3節 国内民主主義とトランスナショナル・デモクラシー
 第4節 EUの正当性と民主主義
 第5節 グローバル・ガバナンスと補完性原則

主要略語一覧

出版社

岩波書店

発行日

2021年7月6日

著者

細井 優子(ほそい・ゆうこ) 第10章執筆
2005年法政大学大学院社会科学研究科後期博士課程修了。博士(政治学)。埼玉大学基盤教育センター准教授を経て、2017年より現職。
専門は国際政治、EU政治。近著に、『民主政の赤字~議会・選挙制度の課題を探る~』(共著/一藝社/2020年)、“Japan-EU Relations after World War II and strategic partnership”, Asia Europe Journal, 17(3), pp.295-307, 『アフター・ヨーロッパ―ポピュリズムという妖怪にどう向き合うか』(共訳/岩波書店/2018年)など。