朝日教育会議2021「AIが描く未来社会」が開催されました

掲載日:2021年11月05日

2021年10月9日(土)、朝日新聞社と主催の朝日教育会議2021「AIが描く未来社会」が開催されました。「教育の力で未来を切り拓く」をテーマにした連続フォーラムで、本学は2018年の第1回より共催しています。4回目となった今回は「Aiが描く未来社会」をテーマとして全3部構成、インターネットライブ配信で実施されました。

鈴木昭一学長

鈴木昭一学長

共催者挨拶で鈴木昭一学長は、拓殖大学では本年工学部のコースリニューアルを行い、来年度には工学部情報工学科の定員増など様々な問題解決に向けてAIや地域貢献の分野を強化していっているが、一方でますます私たちの身近になるAIは万能であるのか否かわからない点が多くあり、今回のテーマとすることとなった。私たちの生活がどのように変化し、どのような未来社会が実現されるのか皆さんと考えていきたいと述べました。

第1部は「AI時代に求められる思考法~未来社会で働くために必要なこと~」をテーマにサイエンス作家の竹内薫さんが基調講演をされました。ポストコロナで第四次産業革命が加速しているが、竹内さん自身が携わる学校運営においてもオンライン化が進んでいる部分と、進んでいない部分がある。第四次産業革命でも自動運転などの分野の進化によりタクシー運転手は縮小されるかもしれないが、高級ハイヤーなどの付加価値の高いサービスはこれからも必要とされるし、カウンセラーや学校の教員など人の心に携わる職業はAIなどに置きかえることが難しい分野である。税理士などでもただ計算結果を導く仕事は消えていくかもしれないが、コンサルティングや交渉を必要とする分野はその付加価値の高さから今後も人間の活躍が期待される分野であるなど、多くの事例を交えながらAIの今後の進化と、AIとの望ましい連携について「相棒としてAI」という観点から考えを述べられました。また、技術的特異点(シンギュラリティ)の現在地点について様々な事例を用いて説明され、今後の子供達が大学に入学したときにAIを相棒として使いこなせるようになることを教育者として考えていきたいと話されました。

竹内薫氏(サイエンス作家)

竹内薫氏(サイエンス作家)

第2部の学生発表では「新しい社会と私たち」をテーマに、本学工学部の寺岡研究室と永見研究室に所属する学生が発表を行いました。寺岡研究室は「コンピューターの言語理解」をテーマに千野愛実花(情報工学科3年)さん、山崎翔太(工学研究科修士2年)さんが研究報告を行いました。千野さんは自然言語と人工言語のふたつの関連性を説明し、情報検索システムなど身近で見られる活用例を紹介し、山崎さんは現在取り組んでいる、コンピューターに自然言語をいかに理解させるか、その研究の進捗について報告されました。また、今後自分たちの研究は幼少期の言語獲得の支援や個人に合わせたカリキュラム作成などの分野に活かされることを期待していると語りました。 永見研究室は武田美沙子(デザイン学科4年)さん、古林拓弥(デザイン学科4年)さん、木村倫太郎(デザイン学科4年)さんが現在研究室で取り組んでいるプロジェクトの紹介をしました。歩行者や自動車のドライバーの視認性を高める立体路面標示について、これまで研究室で取り組んできた施工事例や、町中で見られる効果的な立体路面標示の活用例を紹介しました。また、日本の古紙回収率は85%だが利用率は68%にとどまっているという現状を紹介し、研究室でこれまでに提案をしてきた古紙の活用事例を紹介するとともに、今後段ボール御神輿をとおして小学生を対象とした啓蒙イベントのデザインを行っていきたいと展望を語りました。

寺岡研究室 山﨑翔太さん(工学研究科修士2年)千野愛実花さん(情報工学科3年)

寺岡研究室 山﨑翔太さん(工学研究科修士2年)千野愛実花さん(情報工学科3年)

永見研究室 古林拓弥さん 武田美沙子さん 木村倫太朗さん (3名ともデザイン学科4年)

永見研究室 古林拓弥さん 武田美沙子さん 木村倫太朗さん (3名ともデザイン学科4年)

第3部のパネルディスカッションでは朝日新聞社withnews編集長の奥山唱二郎さんをコーディネーターとして、パネラーには基調講演に登壇された竹内薫さん、鈴木昭一学長に加えてタレント・ソフトウェアエンジニアの池澤あやかさん、水野一徳本学情報工学科長も登壇し、「AIは地球を救うか」をテーマにディスカッションが行われました。広い分野を対象とする「AI」という言葉が、一種のバズワードになってしまっている現状への危惧や、これまでのAIブームについて意見が交換されました。また、AIを学んでいく時代、プログラミングをどのように学んでいくかという問いに、池澤さんは、プログラミング学習用のサービスや海外の名門大学の講座が無料で公開されるなど初学者が学びやすい環境が整ってきているので学びのハードルは下がってきているという現状を紹介され、水野情報工学科長はプログラミング学習にあたって自分にとって得なのか損なのかという考え方や、自分には出来ないだろうという価値判断で勉強するものを決めてしまうのではなく、知的好奇心をもって学習して欲しいと自分のもっている限界のさらなる先を目指して取り組んで欲しいと考えを述べました。

池澤あやか氏(タレント・ソフトウェアエンジニア)

池澤あやか氏(タレント・ソフトウェアエンジニア)

水野一徳情報工学科長

水野一徳情報工学科長

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

※本フォーラムは11月4日(木)、朝日新聞朝刊に採録紙面として掲載されました。
バウンシーは以下のページよりご覧いただけます
https://aef.asahi.com/2021/takushoku.html