『台湾を築いた明治の日本人』渡辺利夫(顧問)著

掲載日:2021年11月17日

『台湾を築いた明治の日本人』

なぜ日本人は台湾に心惹かれるのか
「蓬莱米」を開発した磯永吉。
東洋一のダムを築いた八田與一。
統治を進めた児玉源太郎、後藤新平...。
国家のため台湾住民のため己の仕事を貫いたサムライたち!
明治のリーダーは私たちと何が違うのか
日本の台湾統治にエリート技師としての職分を存分に果たした八田與一と磯永吉という二人の日本人の中に、私は明治の精神をのぞきみている。そして、第四代台湾総督・児玉源太郎と、台湾近代化の基盤づくりのことごとくに総督府民政長官<として偉大なる貢献をなした後藤新平、この二人の思想と行動の中に、理性と豪気をあわせもつ明治日本の指導者の原像を探っていきたい。
(「はじめに」より)アジアに造詣の深い開発経済学者が放つ群像劇!
主な内容
はじめに
第一章 「台湾農業の父」は磯永吉
◎「蓬莱米を見届ける責任がある」
◎きっかけとなった米騒動
◎台湾農業近代化を求める訓示
◎末永仁の研究に魅せられる
◎蓬莱米開発の苦闘
◎内地種の意外な伸び
◎大日本帝国二位の栽培面積
◎台北帝国大学の「磯小屋」
◎四五年ぶりの帰国
第二章 蓬莱米が起こした「緑の革命」
◎八番目に創生された改良品種
◎忘れられた日本人・杉山龍丸
◎インド人青年の訴え
◎杉山家三代の宿命
◎なぜ野牛は炎天下で腹ばいになるのか
◎パンジャーブ州総督に会う
◎「あなたのような日本人は初めてです」
◎ユーカリ樹林帯
◎「蓬莱米は台湾だけのものではない」
第三章 台湾というフロンティアの夢
◎海賊集団には絶好の巣窟
◎もうひとつの日清戦争
◎「旧慣」と「自治」
◎不作、豊作は天の采配
◎未開のフロンティア・台湾
◎「人類ノ為メ 國ノ為メ」
◎バルトン、浜野弥四郎の「自利利他」
◎八田與一に白羽の矢を立てる辣腕長官
◎台湾の地政学的重要性
第四章 困難に屈しない技術者たち
◎荒涼の嘉南平原
◎「米と砂糖の一大供給地になる」
◎「不抜の信念があるか」
◎台湾の最大河川を利用しない手はない
◎八田工法の独自性
◎空中移動する削岩機
◎無間地獄か
◎「ハッタダム」の由来
◎優秀者に解雇通告
第五章 なぜ嘉南大圳は成功したのか
◎平原は一枚の緑の絨毯
◎烏山頭ダムの完成
◎「三圃制」の画期的な活用
◎犠牲者一三四名の殉工碑
◎技術者集団「南方開発戦士」
◎大洋丸の惨劇
◎遺体発見
◎子供たちに宛てた五枚の絵葉書
◎烏山頭に疎開した妻の最期
第六章 理性と豪気の児玉・後藤政治
◎後藤を長官に抜擢した児玉の直観力
◎「我が輩の方針は〝無方針〟である」
◎武装集団「土匪」をどうさばく
◎台湾に伝わる「保甲」
◎後藤思想の源流『国家衛生原理』
◎適者生存の理を究めよ
◎台湾銀行なくして開発はない
◎新渡戸稲造を動かした一言
◎後藤の行政手腕
最終章 英米は台湾統治をどうみたか
◎欧米の代表メディアが絶賛
◎中国は無法の島を手放しほっとしたのではないか
◎アヘン吸引者を減らす方法
◎我慢強く寛容な日本人
◎日本統治下の経済成長は「衝撃的」
◎台湾中等学校教科書『認識台湾』
おわりに――「韓国反日 台湾親日」由来は何か

出版社

産経NF文庫

発行日

2021年11月24日

著者

渡辺利夫(ワタナベ トシオ)
拓殖大学顧問、名誉教授、元総長、元学長。昭和14(1939)年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科修了。経済学博士。
筑波大学教授、東京工業大学教授、拓殖大学教授を経て現職。専門は開発経済学・現代アジア経済論。(公財)オイスカ会長。日本李登輝友の会会長。平成23年、第27回正論大賞受賞。
著書に『成長のアジア 停滞のアジア』(講談社学術文庫、吉野作造賞)、『開発経済学』(日本評論社、大平正芳記念賞)、『西太平洋の時代』(文藝春秋、アジア・太平洋賞大賞)、 『神経症の時代 わが内なる森田正馬』(文春学藝ライブラリー、開高健賞正賞)、『アジアを救った近代日本史講義 戦前のグローバリズムと拓殖大学』(PHP新書)、 『放哉と山頭火』(ちくま文庫)、『新脱亜論』(文春新書)、『士魂 福澤諭吉の真実』『死生観の時代』(海竜社)など。