『アフリカの零細鉱業をめぐる社会構造』藍澤淑雄(国際学部教授)著 | 大学 | ニュース一覧 | 拓殖大学

『アフリカの零細鉱業をめぐる社会構造』藍澤淑雄(国際学部教授)著

掲載日:2021年12月23日

『アフリカの零細鉱業をめぐる社会構造』

本書は、鉱物資源が豊富なサブサハラ・アフリカの農村部で重要な生計多様化の手段となっている零細鉱業の社会構造を解明しその支援のあり方について議論するものである。零細鉱業とは金やダイヤモンドなどの鉱物資源を採鉱する小規模で労働集約的な経済活動である。アフリカ農村部の鉱物ポテンシャルの高い地域に一歩足を踏み入れれば、人々がハンマーやノミなど手工具を使いながら採鉱活動を行っているのを目にすることも難しくはない。高度な技術を必要としないことから、零細鉱業の採鉱地には地域内外から人々が流入し採鉱活動に従事しておりその従事者数は増加の一途を辿っている。サブサハラ・アフリカの鉱物資源国において零細鉱業が地域の暮らしにもたらす影響は極めて大きいにもかかわらず、インフォーマルな営為がその内実を可視化しにくくしており、研究対象として光が当てられることは少ない。
今日世界的に絶対的貧困層が減少しているなか、国際協力の分野で使い古された貧困という言葉が使われる頻度は減っているように思われる。しかしその一方で、サブサハラ・アフリカの鉱物資源国で零細鉱業に従事する者の多くはいまだ絶対的貧困層である事実には変わりはない。     
本書を通じて、サブサハラ・アフリカの鉱物資源国の貧困層にとって重要な生計手段である零細鉱業について理解を深めていただき、その支援のあり方について考えを及ばせていただければ幸いである。(はしがきより)
本書の構成
-研究の枠組と意義-
第1章 問題の所在
第2章 零細鉱業を取り巻く行政・社会構造-既往研究のレビューから
-タンザニア国ゲイタ県の零細鉱業-
第3章 タンザニアの零細鉱業とその立場の変化
第4章 ゲイタ県の零細金鉱業-調査対象地における零細鉱業活動
-零細鉱業の経済・社会的紐帯-
第5章 零細鉱業における経済的・社会的接続
第6章 零細鉱業者の多様性と経済的・社会的接続
-零細鉱業者の脱農業化と地域社会とのかかわり-
第7章 脱農業化と農民の零細鉱業へのかかわり
第8章 脱農業化と社会変容
第9章 脱農業化と零細鉱業者の地域とのつながり
-零細鉱業への支援のあり方を考える-
第10章 タンザニアの零細鉱業に対するタンザニア政府の対応
第11章 タンザニアの農村自治体を通じた零細鉱業支援の可能性
第12章 タンザニアの貧困解消に向けた零細鉱業支援
むすび

出版社

日本評論社

発行日

2021年12月25日

著者

藍澤 淑雄 (あいざわよしお)
1965年新潟県生まれ。拓殖大学国際学部 教授。博士(国際協力学)。
東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。青年海外協力隊員、国際開発センター研究員・主任研究員、秋田大学国際資源学部・国際資源学研究科准教授、拓殖大学国際学部准教授を経て現職。
主著(単著): 「参加型開発とコミュニティの自律性と他律性:タンザニアにおける農村を事例として」『国際開発研究』(国際開発学会)18(2) 2009年、Artisanal and Small-scale Mining as an Informal Safety Net Journal of International Development 28(7) (Wiley-blackwell) 2016年、「アフリカ農村における脱農業化と社会変容‐タンザニアの鉱山コミュニティを事例として」『国際開発研究』(国際開発学会) 25(1-2) 2016年、Socio-economic Linkage of Artisanal and Small-scale Miners in Tanzania Journal of International Development 19(1) (勁草書房) 2019年、ほか。