『日本の「英文法」ができるまで』 斎藤浩一(政経学部准教授)著

掲載日:2022年05月23日

日本の「英文法」ができるまで

本書が解明しようとする問題はいたってシンプルです。それは、日本の英語教育で使用されている英文法の体系がどのような歴史的過程を経て作られたものなのか、さらにこれが黎明期の「英語教育」制度においていかなる意味を付与されたのかというものです。周知の通り、英文法は長らく日本型「英語教育」制度の中核の一つをなしてきました。するとこの英文法の歴史やその意味を知ることは、現代のグローバリズムの潮流のなかで再検討されている、日本型「英語教育」制度の本質を知ることにつながるはずです。本書は、主として幕末から明治という時代に焦点を合わせながら、国防(「国語」の強化や人間教育)と不可分であった英文法の歴史を丹念に辿ります。

《目 次》
まえがき
 
序章 はじめに

第1部 ヨーロッパにおける文法研究の歴史――日本の「学習英文法」前史
 第1章 ギリシア語文法からラテン語文法へ――古代~中世
 第2章 規範英文法の確立に向けて――16~18世紀
第2部 「学習英文法」体系はいかに作られたか
 第3章 日本人と英文法との出会い 
 第4章 本格化する英文法の「作り変え」――幕末~明治初年期
 第5章 英文法体系の進展――明治10~20年代
 第6章 「学習英文法」体系の完成――明治30年代
第3部 「学習英文法」はいかに意味づけられたか
 第7章 英文法の学習・教授法小史――幕末~明治40年代
 第8章 英文法排撃論の興隆――明治30~40年代
 第9章 英文法排撃論への反論活動――明治30~40年代
 第10章 「英語教育」の手段となった英文法――明治40年代
終章 おわりに――中間的メタ言語となった「学習英文法」
あとがき

出版社

研究社

発行日

2022年5月24日

著者

【著者】斎藤浩一(さいとうこういち)
1983年東京生まれ。拓殖大学政経学部准教授。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。東京海洋大学海洋工学部准教授を経て現職。専門は日本英学史。