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バチカン図書館所蔵 マリオ・マレガ資料の総合的研究 高見純(政経学部准教授)共著

掲載日:2022年06月27日

バチカン図書館所蔵 マリオ・マレガ資料の総合的研究

2011年、ローマ教皇庁バチカン図書館で近世日本のキリシタン統制に関する大量の史料が発見されました。20世紀にサレジオ会宣教師マリオ・マレガによって日本で収集され、バチカンへ送られたものです。2013年には、この資料群の調査・研究のため、バチカン、イタリア、日本などから多数の研究機関・研究者が参加して国際協働プロジェクトが発足しました。2022年4月まで約10年間続いたプロジェクトでは、資料の調査、研究、修復、目録化、デジタル化、そして画像データベースの作成が進められてきました。 資料群は、九州の臼杵藩宗門方役所をはじめとするキリシタン・類族関係資料、およびマレガ本人の研究資料群などによって構成され、歴史文化的な学術価値が極めて高いものです。近世日本の社会構造やキリシタン統制の解明とともに、キリスト教の世界的な拡大をめぐる一局面を明らかにする可能性も有しています。
本書は、マレガ資料群の情報資源化やマレガ神父に関する諸研究を収めた第1部と、豊後キリシタン・類族文書に関する研究を収めた第2部に分かれます。
この度、本書がオンライン公開されましたので宜しければこちらご覧ください。
また、プロジェクトHPでは、総レコード数1万4千以上(撮影コマ数は約4万)に及ぶ「マリオ・マレガ資料データベース」も併せて公開されています。
《目 次》
序章 ―本書の狙いと論文紹介―
第1部 マレガ資料群の情報資源化とマレガ神父研究
バチカン図書館所蔵マレガ資料群の伝来について
マレガ資料群の調査・保存と情報資源化
マレガ・プロジェクトにおける日本の古文書の調査方法について
バチカン図書館マリオ・マレガ資料群の全体構造
豊後キリシタンの跡をたどるマリオ・マレガ神父 ―マレガ文書群の成立過程とその背景―
マリオ・マレガの執筆活動とその「文脈」
宣教師によるキリシタン統制文書群の収集と整理 ―マレガ目録の分析から―
マリオ・マレガのキリシタン史跡調査 ―1937〜38年―
サレジオ大学図書館所蔵マレガ関連資料に見るマレガによる研究と資料保護

第2部 豊後キリシタン・類族文書の研究
臼杵藩におけるキリシタン禁制政策と民衆統制
寛永12年の「南蛮誓詞」と臼杵藩のキリシタン禁制
豊後崩れと類族改制度
臼杵藩宗門方役所とキリシタン統制
臼杵藩宗門方役所における文書管理の諸相―収納袋・端裏書・保存形態に着目して―
近世武家社会とキリシタン統制 ―臼杵藩家中の類族を考える―
キリシタン類族改制度と村社会 ―臼杵藩の場合―
豊後臼杵藩の村社会における女性類族の婚姻状況をめぐって
豊後諸藩における類族制度の展開
臼杵藩のキリシタン禁制と寺院
豊後国大野郡野津における寺院と類族
明治初年のキリシタン統制に関する一考察 ―宗門改を中心に―
臼杵藩におけるキリシタンの数と分布

あとがき
マレガ・プロジェクト活動記録
執筆者一覧

出版社

マレガ・プロジェクト(国文学研究資料館)

発行日

2022年2月18日

著者

高見純(たかみじゅん)拓殖大学政経学部准教授
1984年東京生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(経済学)。国文学研究資料館研究部プロジェクト研究員、文部化科学省教科書調査官を経て、2021年より現職。
専攻は、西洋経済史、中近世イタリア史。「15世紀前半期ヴェネツィアにおける大兄弟会の貧困救済」『社会経済史学』, 第83巻, 第2号, 99-120頁, 2017年、「相互扶助による社会形成―近世ヴェネツィアにおける小兄弟会の展開を中心に―」『一橋経済学』第13巻, 第1号, 35-63頁, 2022年など