『現代中国の腐敗と反腐敗 汚職の諸相と土壌』岡田 実(国際学部教授)共著
掲載日:2024年10月08日
現代中国の腐敗と反腐敗 汚職の諸相と土壌
建国から改革開放を経て、習近平体制下のネット社会にいたるまで、共産党一党支配のなかで政治家や官僚、企業家の犯罪や不正行為が絶えない中国。社会の隅々で、膨大な腐敗事案はなぜ発生し、どんな力学で蔓延してきたのか。そして法令・紀律違反の摘発や告発(反腐敗)は、体制側によってどう利用されてきたのか。超大国のはらむ重大な国家的問題に深く多面的に切り込む最新共同研究の成果。
<目次>
序章 腐敗学序説──なぜ今腐敗学か?【菱田雅晴】
Ⅰ 腐敗観──どのように捉えるか
第1章 腐敗学から〈中国〉腐敗学へ──パラドックスを超えて 【菱田雅晴】
第2章 権力社会と汚職のサイクル的構造 【天児慧】
第3章 『アモイ日報』掲載記事にみる体制改革派・習近平の横顔──アモイ時代の反腐敗,開放政策,政治・経済改革 【鈴木隆】
Ⅱ 反腐敗(摘発,通報)──どのように捕まえるか
第4章 比較の視座からみた中国の腐敗の特質──高官落馬と「帯病提抜」(腐敗潜伏しながら出世) 【毛里和子】
第5章 中央巡視組の「回頭看」──第一期習近平政権の巡視制度と幹部管理政策の新展開 【諏訪一幸】
第6章 網絡反腐──ネット時代の「曇花」か「利器」か 【朱建榮】
Ⅲ 腐敗空間──どこで起きているのか
第7章 「微腐敗」対策──農村における腐敗空間の生成と行方 【南裕子】
第8章 選挙における腐敗と中国共産党の支配──選挙制度にある「曖昧な空間」の利用 【中岡まり】
第9章 国共内戦下の末端幹部腐敗と建国後における都市行政のあり方 【橋本誠浩】
Ⅳ 腐敗磁場──何が起きているのか
第10章 対外援助と腐敗──日本のODA腐敗経験から見た"一帯一路:廉潔之路" 【岡田実】
第11章 幹部「四化」方針下の学歴腐敗 【厳善平】
第12章 中国建築業界における利益分配構造と「腐敗」・「搾取」の背景──「包工頭」の役割を中心に 【大島一二・刁珊珊】
Ⅴ 中国腐敗をどう捉えるべきか
第13章 中国における法紀型権力濫用──その変容と含意 【馬嘉嘉】
第14章 脱構築される習近平の反腐敗政策──「親清な新型政商関係」の構築をめぐる政治過程 【小嶋華津子】
第15章 プーチン期のロシアにおける汚職と反汚職──中国との比較を手がかりとして 【油本真理】
終章 権・圏・銭──〈中国〉腐敗学から腐敗学へ 【菱田雅晴】

出版社
法政大学出版局
発行日
2024年10月10日
著者

岡田 実(おかだ みのる)
拓殖大学国際学部教授・国際開発研究所長。博士(政治学)。
東北大学法学部卒業後、民間企業、国際協力機構(JICA)を経て2014年から現職。JICAでは北京大学留学、中国事務所員、中国援助調整専門家、中国事務所副所長として約10年間対中政府開発援助(ODA)に従事した他、本部、外務省、研究所等で勤務。
著書に『日中関係とODA-対中ODAをめぐる政治外交史入門』(単著、日本僑報社)、
『「対外援助国」中国の創成と変容1949-1964』(単著、御茶の水書房)、『ぼくらの村からポリオが消えた―中国・山東省発「科学的現場主義」の国際協力』(単著、佐伯印刷(株)出版事業部)、『日中未来遺産 中国「改革開放」の中の“草の根”日中開発協力の「記憶」』(単著、日本僑報社、拓殖大学研究叢書(社会科学)51)などがある