『カーボンニュートラルの夢と現実 欧州グリーンディールの成果と課題』細井優子(政経学部教授)共著、蓮見雄・高屋定美 編著

掲載日:2025年01月31日

問われる欧州グリーンディールの実効性―カーボンニュートラルの社会実装は実現するか
カーボンニュートラルは人類共通の「夢」となった。だが「夢」は、その実現のための具体策が伴わなければ「現実」を変える力とはならない。いま問われているのは、その社会実装である。先頭を走るEUはGXの法整備を着々と進め、企業も適応を迫られている。本書は、エネルギー・環境、産業、金融・財政、市民社会という多角的な視点から、EUの成長戦略=欧州グリーンディールを批判的に検討し、その実効性を問う。
【目 次】
総論
 序章 欧州グリーンディールの成果と社会実装の課題
第Ⅰ部 エネルギー・環境
 第1章 風力発電と送電インフラ
 第2章 グリーン・ディールの中の太陽光─REDⅢ,導入の加速化,サプライチェーンリスク─
 第3章 グリーン水素市場創出の主導権確保を目指すEU
 第4章 EUによる炭素国境調整メカニズムの背景,論点,今後の展望
第Ⅱ部 産業
 第5章 EUグリーンディール産業政策のカギを握る欧州自動車産業
 第6章 ポーランド車載電池大国における「競争と協業」の新たな事業展開
 第7章 EUプラスチック政策および関連国際動向─循環経済の視点から─
 第8章 欧州グリーンディール「自然の柱」と農業─戦略的対話へ向けて─
 第9章 EUサーキュラー・エコノミー戦略の要点と現状
 第10章 欧州新産業戦略の展開と財政・金融
第Ⅲ部 財政・金融
 第11章 EUタクソノミーの拡張,CSRD/ESRS,企業持続可能性デューディリジェンス指令の動向
 第12章 欧州グリーン・ディールとサステナブル・ファイナンス─欧州グリーンボンド市場を中心に─
 第13章 ドイツにおけるグリーンディールの概要とその展望
 第14章 オランダのASN銀行によるサステナブル・ファイナンスの取組み
 第15章 英国におけるグリーンファイナンス戦略の特徴と展望
第Ⅳ部 市民社会
 第16章 EGDの「公正な移行」とグリーンジョブの創出
 第17章 EUリノベーション戦略と建設エコシステムの課題
 第18章 EUの気候変動対策におけるEU市民の役割
 第19章 ポーランドにおける原発計画と市民意識
課題
 第20章 欧州グリーンディールと国際協力

出版社

文眞堂

発行日

2025年1月10日

著者

細井 優子(ほそい・ゆうこ) 
「第18章 EUの気候変動対策におけるEU市民の役割」担当
2005年法政大学大学院社会科学研究科後期博士課程修了。博士(政治学)。埼玉大学基盤教育センター准教授を経て、2017年より現職。専門は国際政治、EU政治。近著に、“Japan-EU Relations after World War II and strategic partnership”, Asia Europe Journal, 17(3), pp.295-307, 『アフター・ヨーロッパ―ポピズムという妖怪にどう向き合うか』(共訳/岩波書店/2018年)、『国際機構 新版』(共著/岩波書店/2021年)など。

山村 延郎(やまむら・のぶお)
「第13章 ドイツにおけるグリーンディールの概要とその展望」担当
 拓殖大学商学部教授。ハンブルク大学持続可能社会研究センター上席客員研究員。2001年9月から2006年3月まで金融庁金融研究研修センター研究官、在任中にサステナブル金融研究会を立ち上げ、地球環境や地域社会における金融の役割について探求。 パリ協定成立以降は農業金融やグリーン・ファイナンスの研究にも従事。主な共著に、『SRIと新しい企業・金融』(谷本寛治編・東洋経済新報社/2007年)、『EU経済』(高屋定美編・ミネルヴァ書房/2010年)など。