『防窮とは何か-生活困窮を予防し深刻化を防ぐ考え方-』白取 耕一郎(政経学部 准教授)著
掲載日:2025年09月25日
防災や防犯を全く意識していない人がほとんどいないこととは対照的に、生活困窮に備えている人は多くありません。でも、自分は無関係と思っている人も、ふとしたことで生活が不安定になっていくことはあります。社会保障はどのように利用できるのでしょうか。どのように自分で困難に備えていけばよいのでしょうか。
筆者は、防窮(生活困窮の予防と深刻化防止)という概念を提唱し、それぞれが安心安全に自分の願いに向かって生きていけるような学びや準備ができるよう研究と実践を行っています。
本書は、まだ防窮を知らない人に向けて、出来る限りやさしく書きました。読んでいただければ、そもそも防窮がどのように生まれ、どこへ向かっているのかを理解できると思います。
はじめに
第一章 防窮の誕生
1.1. 北海道の孤独で偏屈な少年
1.2. 東京での大学・大学院時代
1.3. 何もない中での結婚
1.4. 職と博士号を求めて再上京
1.5. 二〇二〇年春、コロナ禍
1.6. ソーシャルビジネスに取り組む人たちと出会う
1.7. 一人ずつ広がる仲間の輪
1.8. 防窮訓練というアイデアから防窮へ
1.9. 防窮研究所の設立と、概念のメッセージ化
1.10. 都知事杯オープンデータ・ハッカソンに出場
1.11. 埼玉県富士見市と連携協定を締結
第二章 防窮・防貧・救貧
2.1. 防窮と似ている概念との関係性
2.2. 貧困や生活困窮に備えている人は少ない
2.3. 支援者にかかる高い負荷
第三章 防窮って何だ
3.1. 生活困窮を予防するという発想
3.2. 防窮を位置づける
3.3. 生活困窮の定義と防窮のろうとモデル
第四章 防窮研究と実社会での利用
4.1. アプリ「支援みつもりヤドカリくん」
4.2. 防窮訓練
4.3. 防窮研究 ―あらゆる学問に開かれたフロンティアー
第五章 防窮が日常にある社会に向けて
5.1. 「おたがいさま」はどこから来るか
5.2. 防窮は可能な限り人と人の間に線を引かない考え方
5.3. 防窮を当たり前にするために

出版社
恒健社
発行日
2025年9月5日
著者

白取 耕一郎 (しらとり こういちろう)
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。一般財団法人行政管理研究センター研究員、東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員、環太平洋大学経済経営学部現代経営学科講師、大谷大学社会学部コミュニティデザイン学科講師を経て、2025年4月より現職。東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員。著書は『自治体における「負の政策波及」』(法律文化社)ほか。