木村政康(教授)
学生諸君とSUVAG機器
身体リズム運動による発音指導
研究
「日本語らしさ」の音声的特徴とは何か、また、日本語学習者が「日本語らしい発音」を獲得するにはどうしたらよいのかについて、VT法の考えに基づいた、その解決法を探るともに、実践を行うことを目標としています。
研究室の特徴は、なんと言っても、各音の最適周波数を選択して聴取訓練ができる電子音響フィルタSUVAG、音声を体感できる振動器、低域周波数を活用してリズム・イントネーションの聴取に役立てるVTフィルタアンプなど、充実した音声訓練機器を備えていることです(文京、八王子両キャンパスに常設)。 また、博士後期課程では、VT法による実際の発音指導法を学生に教授し、音声指導のプロパーの育成にも力を入れています。
学生
博士後期課程に5名(日本人3名、中国人留学生2名)、博士前期課程に2名(日本1名、ベトナム人留学生1名)が在籍し、以下のテーマを中心にそれぞれ研究に専念しています。
- 日本語学習者における日本語教師の母語に起因するアクセントの問題点と解決法に関して
- カタカナ語における中国人日本語学習者に見られる促音の長音化に関して
- 日本語学習者への「ハミング」による音声教育の効果と実践法に関して
- 日本人スペイン語学習者におけるスペイン語のアクセント生成の問題点に関して
- ベトナム人日本語学習者におけるポーズの諸問題に関して
- 中国人日本語学習者の発話調査にみられる特殊拍の生成に関して
- Audacity@を利用したプロソディーの指導に関して
趣味
ボディビルディングを始めて20年、コンテストに参加したことはありませんが、研究を続けるためにも、まずは体が資本だと考え、週2回ジムで体づくりに励んでいます。(年齢もあって故障の連続ですが 苦笑!)時間の許す限り、沖縄の海に出かけシュノーケリングをして魚たちと戯れています。 また、シャンソン、カンツォーネ、ラテン音楽を聴いたり歌ったりするのが好きです。それが興じてフランス語、スペイン語、イタリア語、カタルーニャ語のにわか研究も続行中です。L'importance, c'est continuer, ou on trouve le but!
VT法関連機器(音声訓練機器)の紹介
電子音響フィルタTMS98(SUVAG)
VT法の原理に基づいて製作された音声聴取訓練機器でSUVAGとも呼ばれています。
様々な電子音響フィルタが組み込まれており、周波数特性を細かく調整することにより、以下のような様々な聴き取り方が可能です。
- 各音の特徴を際だたせることができる。
- リズム・イントネーションなどプロソディのみを強調することができる。
- 会話領域の周波数帯域をカットして母語干渉を排除した聴き取りができる。
- 各言語に特有の最適周波数帯域を通して聴取することができる。
使用方法は、マイク又は録音機器から音源を入力し、ダイレクト音やフィルタを介して学習者のヘッドフォンに出力しますが、スピーカーへの出力も可能なので教室へ持ち運んで指導することができます。
振動器JX-1
音声を機械的な振動に変換して体感できるよう考案されたもので、特に、促音、長音、撥音といった特殊音素の聴き取りや無声子音と有声子音の弁別に効果的です。
ヴェルボトナル・フィルタアンプ
左側の機器がヴェルボトナル・フィルタアンプで、フィルタを介さないダイレクトチャンネル、300Hz以上をカットしたローパスフィルタ、会話領域をカットした中抜きフィルタから構成され、ローパスフィルタはプロソディ聴取、中抜きフィルタは母語干渉を排除した聴取に効果的です。右側の機器はリピートカードプレーヤで、磁気テープのついたカードを用いて、練習用の単語や文を何度でも繰り返して聞くことができるので、音声訓練には非常に便利です。
音声分析器(SG)による音声波形(SUGI speech Analyzer)
上記のように、音声分析器を利用して、言語音の音響的特徴を視覚的に観察することができます。
「まって」「まて」の、また「かた」「かった」の空白部分の幅に差が確認できます。狭い方が直拍で、広い方が促音拍です。