イタリアの色々な機関で日本語を教えています

齋藤あずさ さん(2002年度修士)

現在イタリアのローマとナポリで日本語を教えています。

ナポリではナポリ東洋大学にて一年生から大学院一年生までを担当し、主に会話や文法練習や漢字を担当しています。

大学入試のないこの大学では毎年一年生が150名以上も大講堂に集まり、この大人数を相手に「会話」を教えるという非常に難しい状況で授業をしています。

決して理想とはいえない学習環境にありながらも、「日本語を勉強したい」と集まる学生たちの気持ちに応えるべく、大勢でもできる授業の方法を常に工夫しています。

ローマでは、国際交流基金ローマ日本文化会館、伊日財団、ローマ日本語補習授業校の3機関で授業を受け持っています。

ローマ日本文化会館

ローマ日本文化会館

日本文化会館では、専門家の先生の指導のもと、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)やJF日本語スタンダードに基づいた授業を行っています。今までの文法積み上げ式から、CanDo(言語能力記述文)で授業のシラバスを組み立てていく方式にかわり、今までの考え方を捨て、試行錯誤を重ねながら、新しいことに挑戦しています。

伊日財団では、日本語学習を趣味としている社会人が集まった小さなグループに授業をしています。積極的かつ自由な雰囲気で、ゆっくりと彼らのニーズに合わせた授業をすることができます。

読書が大好きな受講生が集まっているので、今は日本の短編小説をイタリア語に訳す活動もしています。

また、日本語補習授業校でも「国語」を教えています。イタリア人と日本人の両親を持つ、ローマで暮らしている子どもたちに週に一回、日本の「国語」の教科書を使って、「国語」を教えています。

日本にいる子どもたちとは違い、ほとんどイタリア語で生活をしている彼らに、三分の一の時間で日本と同じカリキュラムを終わらせなければいけないため、授業は「日本語を教える」のとも「国語を教える」のとも違い、いつも創意工夫が必要です。

でも、一生懸命勉強する子どもたちの姿や、仲間たちと楽しく学習している子どもたちの笑顔を見ると、やっていてよかったなと思うことがたくさんあります。

ナポリ東洋大学

ナポリ東洋大学

イタリアでは、専任の日本語教師として雇ってもらえることは非常に稀なため、このようにいくつもの機関を掛け持ちして、どうにかやっていくことができます。

どの機関も対象や人数や教授法や学習内容が様々なため、同じ日本語を教えるという仕事でも、やっていることは全く違います。このような色々な経験を積み重ねつつ、常に学習者と共に成長していけるような教師でいたいと思っています。