ご挨拶

拓殖大学日本語教育研究所
所長 阿久津 智(拓殖大学外国語学部教授)
拓殖大学公開講座「日本語教師養成講座」にご興味をおもちいただき、ありがとうございます。本講座は、1969(昭和44)年に、拓殖大学語学研修所(現・言語文化研究所)の公開講座として開設されました。当時は、まだ日本語教師という仕事が世の中に知られておらず、日本語教師を養成する機関もほとんどなかったころです。それから、すでに半世紀以上がたつわけですが、この間に、本講座からは、多くの日本語教師が巣立ち、国内外の日本語教育機関で活躍してきました。
さて、昨今、日本国内において「日本語に通じない」人々(外国人等)が増加・多様化し、それにともない、日本語教師の質と量の確保が早急に求められるなど、日本語教育をめぐる状況が大きく動いています。2019(令和元)年6月には、国内における日本語教育の機会の拡充や日本語教育の水準の維持向上等をめざす「日本語教育の推進に関する法律」(日本語教育推進法)が公布・施行されました。2023(令和5)年6月には、日本語教育推進法に基づき、「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(日本語教育機関認定法)が公布され(2024(令和6)年4月施行)、日本語教育機関認定の制度が創設されるとともに、認定日本語教育機関の教員(登録日本語教員)の資格が「日本語教員試験(基礎試験及び応用試験)に合格し、かつ、実践研修を修了した者」と定められました。
本講座は、2016(平成28)年7月に、法務省・入国管理局(現・出入国在留管理庁)によって策定された「日本語教育機関の告示基準」の「告示基準」、及びその「解釈方針」が規定する日本語教員の要件を満たす研修(420単位時間以上の日本語教師養成研修)として、2017(平成29)年に、文化庁に届出を受理され、日本語教育機関認定法公布後の令和6(令和6)年4月には、「登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認」を受けています(これによって、本講座の修了生は、日本語教員試験の基礎試験と実践研修が免除されることになります)。現在は、登録日本語教員養成機関・登録実践研修機関の登録申請を行う準備を進めているところでございます。
今後、日本語教育の推進がさらに進められていくものと存じます。本講座では、随時、これに対応していきたいと考えております。