個人研修奨学金 / 佐藤 光瑠
研修報告書
プロフィール
佐藤 光瑠 さん
国際学部 国際学科 2年
留学先
ブラジル/Centro Asia Brasil
期間
2017年7月31日~9月2日
私は夏休み期間中に、ブラジルのクリチバへ約1ヶ月の個人研修に向かいました。この研修の目的は、ポルトガル語の学習とともに、「クリチバの都市開発」「クリチバ市内に根付く日本に対する感情・感覚」の調査でした。これら2つの研究成果をまとめ、現地での生活がどのようなものであったかを振り返りたいと思います。
クリチバはパラナ州の州都であり、人口約170万人の大都市です。そして、人口に対する日系人の割合が、サンパウロに次ぐ第2位を占めており、3万人ほどの日系人が暮らしています。市内には日本文化を感じる公園やお店、レストランなどが見られました。
私はそのようなクリチバで、語学学校に通いながらホームステイ生活を体験しました。私が通っていた語学学校では、日本人向けにポルトガル語を教え、ブラジル人向けに日本語を教えていました。そこで私はボランティアとして、授業を終えたあとブラジル人に日本語を教えていました。語学学校で日本語を学んでいる生徒の中から、約4軒の家庭がホームステイとして受け入れていただき、1週間ごとにホームステイ先を移るという生活をしました。おかげでたくさんの友達を作ることができ、ポルトガル語漬けの毎日を送ることができました。彼らが日本語を学ぶきっかけの多くは、漫画やアニメの影響が大きいようです。ブラジルでのアニメや漫画の人気は絶大で、日本人より知っているのではないか、というレベルで見ています。また、ブラジル人にとって発音しやすい言語であることや、日本語特有の文法、話し方、オノマトペ、など日本語は言語としても魅力的であるそうです。そして、日本食、空手、柔道、茶道、習字、は、日本人の精神を学ぶことができるとして、始める人が多いそうです。クリチバでは、日本は遠い国であっても、日本文化は身近な存在であることに気づきました。また、私自身としてもブラジル人の文化はとても面白かったです。
特に素晴らしいと思ったのは、頻繁にハグをすること、誕生日などの記念日には家族総出でその日の幸せを分かち合うことなど、相手への愛を行動で示すことです。私にとってこれはとても貴重な異文化体験で、年齢や性別問わず相手への愛をしっかりと伝え合うことが、人間関係の中で必要なのだと知りました。
第2の研修目標として挙げたように、クリチバは世界的にも有名な都市開発の成功モデルとなっています。公共バスの普及やバス専用道路、ごみの分別政策、スラム街の撤去、自然や動物を取り入れた公園、ブラジルの他都市では見られない革命的な都市開発を行いました。その都市開発の立役者となったのが、1971年から3度市長に就任したジャイメ・レルネル氏と、ブラジルに渡り数々の斬新な公園を創り、ごみの分別政策やスラム街の撤去などにも携わった中村ひとし氏です。私は中村ひとしさんから、クリチバがどのような都市開発を行ってきたのか、お話を伺うことができました。
クリチバでは、IPPUCという組織が中心となり都市計画が行われています。例えば、道路、公園、水道などの公共設備の整備や設置が必要な場合は、IPPUCが「どこに、何が、どのように必要であるか」を計画し、交通局や環境局がその仕事を担います。このIPPUCという組織は、ジャイメ・レルネル氏によって設立されました。ジャイメ・レルネル氏は「都市は人のためにある」という理念の下、IPPUCとともに革命的な都市開発をおこないました。その理念のとおり、街には車を通さず人々で活気付いている商店街や、市民の憩いの場となっている公園や広場が数多くありました。
私は今回のクリチバでの研修を通して、クリチバという都市やそこで生活する人々を知ることで、日本という国を見つめなおすことにも繋がりました。今後の学生生活の中では、自分の学びたい専門分野を見つけ、日本人としてどのように海外へアプローチできるのかを考えていきたいと思います。