開講50周年の意義

各界のリーダーによる講話を通じて
学生の世界観や人生観を幅広いものに

学校法人拓殖大学理事長 福田 勝幸

学校法人拓殖大学理事長 福田 勝幸

講座「産業と人間」の原点は
中曾根康弘・第12代総長の発案


拓殖大学は、アジアをはじめとした世界の発展に貢献するグローバル人材の育成を建学の理念とし、1900(明治33)年に創立された歴史と伝統のある国際大学のパイオニアです。現在、創立120周年となる2020年に向けた教育改革「拓殖大学教育ルネサンス」を推進し、国際性、専門性、人間性を兼ね備えた「拓殖人材」の育成に取り組んでいます。

拓殖大学教育ルネサンスの基盤は百年を超える教育リソースに他なりませんが、その核を成す一つが講座「産業と人間」です。同講座は、学生が社会観や世界観、職業意識を身につけ、卒業後の進路や人生設計、社会に出てぶつかった壁を乗り越えるときに役立つ思考力と知識、価値観の養成を目指しスタートしました。

同講座が始まった昭和40年代初頭の大学教育は、日本経済が戦後の高度経済成長期にありながらも、旧態依然とした学究に偏っていたため、産業界や社会と隔絶していると批判されることが少なくありませんでした。こうした教育に風穴を開けるために、産業界や社会と結びついた教育を実現したいという強い思いから立ち上がったのが、第12代総長に就任した中曾根康弘氏でした。

中曾根氏は1967(昭和42)年9月に本学の総長に就任すると、財界人を講師とする科目を設置したいと提案をし、開講されたのが「産業講座」「教養講座」であり、これが講座「産業と人間」の原点になっています。自らの教育理念を具現化した中曾根氏は、本学総長を退任後、1982(昭和57)年に第71代内閣総理大臣に就任しました。

拓殖大学で学ぶ学生は、日本人学生だけでなく留学生など多様性に富んでいることから、思想、信条、主義、主張の違いを認め合う、寛容な校風を作りあげてきました。この開放的な校風は、ダイバーシティの重要性が叫ばれる昨今のオリジナリティと捉え、さらに発展させていきたいと考えています。

その鍵を握るのが講座「産業と人間」であり、近年は産業界のみならず幅広い分野から講師を招くことで、学生が多様な価値観や視点を得られるようにしています。政治、経済、文化、スポーツ、芸術、科学など多岐にわたる講話は、学生をさらに一回り大きく成長させているのです。

50年にわたり延べ千人を超える講演者の講話は、学生一人ひとりの世界観や人生観に幅を持たせることにつながっています。今後もタフな人間力を身につけた「拓殖人材」を世に送り出すことで、産業界や社会の期待に還元していきたいと考えています。

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