平成30年度 拓殖大学学長 入学式告辞

平成29年度 拓殖大学学長 入学式告辞

平成30年4月4日
拓殖大学学長 川名 明夫

新入生の皆さん!ご入学おめでとうございます。ご列席の保護者、並びにご親族の皆様にも、心からお祝い申し上げます。

拓殖大学は西暦1900年(明治33年)に、桂太郎公爵により台湾協会学校として台湾開発に貢献しうる人材の育成を目的に設立された、歴史と伝統のある国際大学です。

その建学の精神は「積極進取の気概とあらゆる民族から敬慕されるに値する教養と品格を具えた有為な人材の育成」であり、このような建学の精神のもと、海外に赴き、現地の人と一緒になって汗水を流し、その地になくてはならない人と評価される卒業生を多数輩出しています。その伝統は今日の拓殖大学にも連綿として引き継がれています。拓殖大学に入学した皆さんは、是非一度は拓殖大学の歴史に触れてみてください。そして、このような歴史と伝統を持つ本学において学ぶことに、誇りと自信を持ってください。

現在、創立120周年にあたる2020年に向けて『学生一人一人が国際的視野を持ち、国内外の人々と協働して積極的に課題の発見と解決にチャレンジしていくタフな人間力を身につけたグローバル人材(拓殖人材)の育成』を目標とする「拓殖大学教育ルネサンス」を立ち上げ、教育改革を進めているところです。本学の創立120周年、そして東京オリンピック開催の年である2020年にむけて、教学面における改革を更に加速させていきたいと考えています。

さて、新入生の皆さん!皆さんを取り巻く日本の社会は現在大きな転換期に立たされています。グローバル化そして新興国の勃興のうねりは日本の国際社会における存在感を低下させ、少子高齢化社会の到来は、日本の生産力を支える生産人口の急激な減少をもたらし、日本の経済の先行きを不透明なものとしています。さらに、それに追い打ちをかけるように最近の技術の進展が、これからの日本だけではなく世界全体の将来を予測不能なものとしています。

このような中で、日本が将来目指すべき社会として、「ソサエティー5.0」、「超スマート社会」といった言葉を最近耳にするようになってきました。これは、AI(人工知能)やIoT(全てのモノのネットワーク化)そしてロボットなどの技術を融合させることによりイノベ-ションを起こし、人類がこれまで歩んできた「狩猟社会」、「農耕社会」、「工業社会」、「情報化社会」に次ぐ新たな社会を作り出していこうという気宇壮大な計画です。このような社会を生み出す技術革新を第4次産業革命と呼んでいます。「情報化社会」はコンピュータ技術の進展とインターネットの普及によりもたらされたものであり、世界中の何処にいても何時でも情報のやり取りが可能な社会です。私たちは、現在「情報化社会」の真っただ中にいます。皆さんもご承知の通り、工場、オフィス、家庭などあらゆる場所でコンピュータが使われ、インターネットで世界中が繋がれ、自由に情報のやり取りができるようになっています。工場における機械の自動化、ネットショッピングを始めとする電子商取引、昨今話題になっている仮想通貨等と生産現場や、経済活動も急激に変化してきています。このような現在の情報化社会では、人がネットワークを通してコンピュータにアクセスして情報を入手、解析し、その結果を活用しています。

しかし、先ほど述べた「ソサエティー5.0」と呼ばれる社会では、多くのモノがネットワークに繋がり、モノからネットワークを通して多くの情報がコンピュータに集められます。そして、この大量のデータ、所謂ビッグデータを人工知能が解析し、人間では考えられなかったような新しい価値を生み出すことができるようになると言われています。さらに、このネットワークの中にロボットを組み込むことにより、賢いロボットが実現し、これまで人間が行っていた多くの仕事をロボットで代替をすることが可能になります。このような社会は世界中見渡しても、何処の国においても未だ実現されていません。もし、このような社会を世界に先駆けて我が国で実現することができれば、世界における日本の存在感は大きく上昇するでしょう。人口減少による生産人口の減少もロボットを使う事によって解消されるはずです。このように、「ソサエティー5.0」が実現されれば、先程あげたような多くの問題が解決され、新しい持続可能な社会が現実のものになると考えられています。

しかし、そこに至る道のりは、非常に不透明で、予測が困難なものです。乗り越えなくてはならない技術の壁には非常に高いものがあり、社会全体の仕組みも大きく変えていかなくてはなりません。今日、ここにいる皆さんは、このような不透明で、変化の激しい社会を支え、生き抜いていかなくてはなりません。そのためには、主体的に課題を発見し解決に導く力、チャレンジ精神、コミュニケーション力、多様性を受容する力と言ったタフな人間力を身につけて行かなくてはなりません。これからの4年間専門的な知識を修得すると共にこのタフな人間力を育んで下さい。

このようなタフな人間力を養うため一つの方法はゼミナールでの活動でしょう。先ほど申し上げた教育改革の中でも、本学ではゼミナール活動を積極的に支援しています。多くのゼミナールで、日本の中だけではなく、海外においても地域の人と一緒になって課題を発掘し、その解決手段を模索し、地域の人と一緒になって思いを実現する取り組みをしています。そして、このような取り組みを通して学生一人一人が大きく成長し、タフな人間力を持ったグローバルな人材即ち拓殖人材として育っています。現場に出向いて、自らの手で課題を見つけ出し、ゼミの仲間や先生と徹底的に議論し考え抜き、その課題に対する解答を見つけ出して実行に移す。実行するに当たっては、色々な困難に直面することと思いますが、仲間と一緒になってその困難を乗り越え解決を図るといったサイクルを経験することにより皆さんは大きく成長することができるはずです。

本学ではこれまで、ゼミナールなどが中心となって国の内外の地域等との連携を図り、地域に貢献すると同時に学生の皆さんの学修の場として活用してきました。しかし、大学全体としてこれらの活動を取りまとめる組織がありませんでした。建学の精神にもある通り、国内外の地域の人々と協働して地域の振興と活性化を図ることは本学の使命の一つであることから、その活動の中心となる地域連携センターを本年より設置することとしました。既にいくつかの企業や自治体と協定を結び協力体制を整えています。そして、学生の皆さんの力も借りながら、地域の振興、活性化に貢献すると共に、皆さんの学修の場としても大いに活用していきたいと考えています。是非皆さんもゼミナールや課外活動を通して地域に出て、実社会の厳しさを知り、自分自身を鍛えて行って欲しいと思います。

さて、色々なことを申し上げましたが、皆さんの目の前には可能性が大きく広がっています。本学は、学生の皆さんが持っている可能性を磨き育む多くの機会を用意しています。今、日本だけでなく世界全体が大きな変革の時代に来ています。この時代の変化を楽しみながら、この4年間是非皆さんが持っている可能性を伸ばしていってください。拓殖大学は教職員一丸となって皆さんを応援致します。

最後に、ご列席いただいている保護者ならびにご親族の皆様に申しあげます。どうぞ本学の教育方針とその取り組みにご理解頂きたく、よろしくお願いいたします。そして、皆様と拓殖大学とで将来ある若者の成長にかかわっていこうではありませんか。

新入生の皆さん、並びにご列席の保護者並びにご親族の皆さまに、重ねて心よりご入学のお祝いを申し上げ告辞と致します。