令和4年度 拓殖大学学長 入学式告辞

令和4年度 拓殖大学学長 入学式告辞

令和4年4月4日
拓殖大学学長 鈴木 昭一

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。(また、この映像をご覧の保護者の方々を始めご関係の皆様方に対し、心よりお祝い申し上げます。)。本日、本学キャンパス内にこうして皆さんをお迎えできることを大変嬉しく思います。

この機会に、これから学生生活を送る上で心がけてほしいことをお話しします。

一つ目は、皆さんは学問を修めるために大学に入りました。これまでに受けた教育を基礎として、専門分野に関するより深い学修に入っていきます。学問とは、先人たちが築き上げてきた知的財産といえます。現代に生きる私たちには、その財産を発展的に継承する義務があるといえます。そのためには、表面的な理解にとどまるのではなく、本質に踏み込んだ取り組みが必要になります。本質に踏み込むとは、懐疑的・批判的に検討すること、つまり「疑ってかかる」ことです。

いわゆる好奇心は学修においても大切です。知的好奇心を大事にしてください。皆さんは覚えているでしょうか。幼少の頃に「なぜ・どうして」を繰り返していた時期があったはずです。この「なぜ・どうして」が学問を発展させる原動力になります。残念なことに、人間は成長と共にこの知的好奇心を心の奥底にしまい込んでしまう傾向があります。心当たりのある人がいたら、この知的好奇心を呼び起こしましょう。「なぜ・どうして」という疑問を自ら打ち消すことなく、図書館を活用し各種の資料にあたって調べたり、さらには教員にぶつけてください。教員はその分野の研究者であり専門家です。皆さんの知的好奇心をさらにかき立てるような有益なアドバイスを与えてくれるはずです。

大学では、主体的な学びが求められます。これまでの「教えられるスタイル」から「自らすすんで学ぶスタイル」への変更です。知的好奇心を原動力として、与えられた課題に取り組み、その答えを得る。さらに言えば、課題自体を自ら見つけ出す。そうした学びにおける教員の役目は、ただ単に答え(正解)を教えるのではなく、皆さんが答えに到達できるよう皆さんの学びを後方から支援することにあります。答え(正解)にたどり着けないこともあるでしょう。いやむしろ、世の中に目を向ければ答え(正解)のない課題ばかりといってよいかもしれません。しかし、答え(正解)にたどり着けなくとも、そこへ向かおうとするプロセスを経験することは皆さんにとって大きな成長につながります。教員は皆さんと同じ方向を向き、皆さんに伴走しながら皆さんの成長のために尽くしていきたいと願っています。遠慮することなく、授業内容についてはもちろん、湧いてくる疑問の数々を教員にぶつけ、アドバイスを求めてほしいと思います。

今述べた学修への取り組みの他、もう一つ大事なことがあります。それは心の成長です。心の成長は、人生において豊かな経験を積むことで促されます。皆さんは大学生になりました。皆さんを取り巻く環境、皆さんの見渡す世界がこれまでよりも広がるはずです。その広い世界でさまざまな機会を得て他者と関わり、交流してください。大学内における同世代とだけでなく、世代を超えてさまざまな人たちと交流してください。また大学の外でさまざまなコミュニティーに所属することも一つです。そうした環境に身を置き、多様な考え方・価値観に触れることはとても大切なことです。

本学には留学生も多く在籍しています。日本人学生と留学生との活発な交流・コミュニケーションが日常的に展開されることを期待しています。国を超えてさまざまな考え方・価値観があることを知り、それを理解し、受け入れてください。これは日本人学生にも留学生にも言えることです。そうすることによって、皆さんの内にある考え方の依って立つところに奥行きと広がりができてくるはずです。奥行きと広がりがあると、物事を判断するにあたって、大局的でバランスのとれた判断を可能とします。こうした皆さんの内なる変化は、心の成長と言えます。心の成長と、先に述べた学修とは互いに良い影響を与えます。心の成長は学修にも良い影響を与え、逆もまた真なりです。

本学では「専門性」「国際性」「人間性」を兼ね備えた人材育成を目指しています。「専門性」は先に触れた学修によって養われます。それぞれの学部・研究科の「学位授与方針」に示す到達目標を達成するために体系的に配置されたカリキュラムを通して、懐疑的・批判的に、そして主体的に学修し、高い専門性を身につけてください。

「国際性」の点では、広い視野で物事を見ることが出来るようになってください。皆さんの視野をこれまでより一段と広げて世界に目を向けてほしいです。世界で起きている出来事に関心を持ち、自分自身がどう世界と関わることが出来るのか、どう世界に貢献できるのか、是非とも想像力を働かせて考えてほしいです。語学運用能力を磨いたり、海外体験プログラム等を利用して異文化体験を積んだりすることは、視野を広げるためには有効な手段です。

皆さんの外側にある広い世界、さまざまなコミュニティーとの関わりを通じて、心の成長を図り、豊かな「人間性」を育んでください。授業だけでなく課外活動にも積極的に参加してください。本学には「麗澤会」という学生と教職員が一体となって課外活動を支援する伝統ある組織が存在します。「麗澤会」にはさまざまな部・サークルが属しています。ボランティア活動も盛んに行われています。広い世界で他者と触れ合うチャンスです。オレンジプロジェクトという学生と職員が協働するプロジェクトチームも皆さんを待っています。大学祭での活躍も期待しています。学生チャレンジ企画、社会人基礎力育成グランプリなど各種のコンテストに参加する機会もあります。

新型コロナウイルス感染症は、未だに収束していません。ワクチン接種が進みつつあるものの、変異種が次々と出現し、今後の情勢は予断を許しません。本年度を迎え、授業は、オンデマンド型を一部併用しつつ、対面で実施します。感染防止対策を徹底して皆さんをお迎えするので、皆さんも日常生活から感染防止に心がけ、感染リスクのある行為には十分に気をつけてください。皆さん自身を守るだけでなく、大切なご家族やご友人を守ることにもなります。

皆さんは大学という新たな環境に身を置くことになりました。大きな期待を抱いていることと思いますが、多少なりとも不安はあるでしょう。学修は上手くいくのだろうか。友人はできるだろうか。親元を離れて慣れない独り暮らしをする人もいるでしょう。特に、留学生にあっては、遠く母国を離れての生活となります。大学生活を送る上で大小さまざまな悩みが生じてくると思います。本学には、学生支援室を始めとして、学生の皆さんが大学生活全般にわたって充実した日々を送ることができるよう細やかにサポートする体制が整っています。新年度開始後数ヶ月は特に注意して、悩みや困ったことがあったらその種が小さいうちに遠慮することなく相談するようにしてください。

新たな学生生活のスタートです。失敗を恐れずに、何事にも果敢に挑戦する強い気持ちを持って積極的に取り組んでいきましょう。しばらくはウィズ・コロナの状況が続くでしょうが、工夫を重ねながら前に進んでいきましょう。皆さんが卒業する時に、自分自身の大きな成長を実感することができるよう充実した日々を送ってください。私たち教職員一同、皆さんの大いなる成長を心から期待しています。

以上、告辞といたします。

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