令和5年度 拓殖大学学長 入学式告辞

令和3年度 拓殖大学学長 入学式告辞

令和5年4月3日
拓殖大学学長 鈴木 昭一

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、ご来場の保護者の方々を始めご関係の皆様方には、心よりお祝い申し上げます。本日、新入生の皆さんキャンパスにお迎えできることを大変嬉しく思っています。入学式にあたり、学生生活を送る上で心がけてほしいことをお話ししたいと思います。

大学における学修
一つ目は、皆さんは学問を修めるために大学に入りました。これまでに受けた教育を基礎として、専門分野に関するより深い学修に入っていきます。学問とは、先人たちが築き上げてきた知的財産といえます。現代に生きる私たちには、その財産を発展的に継承する義務があるといえます。そのためには、表面的な理解にとどまるのではなく、本質に踏み込んだ取り組みが必要になります。本質に踏み込むとは、懐疑的・批判的に考えること、すなわち「疑ってかかる」ことです。

いわゆる好奇心は学修においても大切です。知的好奇心を大事にしてください。皆さんは覚えていますか?幼少の頃に「なぜ・どうして」を繰り返していた時期があったはずです。この「なぜ・どうして」が学問を発展させる原動力になります。残念なことに、人は成長と共にこの知的好奇心を心の奥底にしまい込んでしまう傾向があります。本来もっているはずのこの知的好奇心を呼び起こしましょう。「なぜ・どうして」という疑問を自らしまい込むのではなく、図書館を活用し各種の資料あたって調べたり、さらには教員にぶつけたりしてください。教員はその分野の研究者であり専門家です。皆さんの知的好奇心をさらにかき立てるような有益なアドバイスを与えてくれるはずです。

大学では、主体的な学びが求められます。これまでの「教えられるスタイル」から「自ら学ぶスタイル」への転換です。知的好奇心を原動力として、与えられた課題に取り組み、その答えを得る。さらに言えば、課題自体を自ら見つけ出す。そうした学びにおいて、教員が果たす役目は、単に答え(正解)を教えるのではなく、皆さんが答えに到達できるよう皆さんの学びを後方から支援することにあります。答え(正解)にたどり着けないこともあるでしょう。むしろ、世の中に目を向ければ答え(正解)のない課題ばかりといってよいかもしれません。しかし、答え(正解)にたどり着けなくとも、そこへ向かおうとするプロセスを経験することは皆さんにとって大きな成長につながります。教員は皆さんと同じ方向を向き、皆さんに伴走しながら皆さんの成長のために力を尽くしたいと思っています。遠慮することなく、授業の内容についてはもちろん、湧いてくる疑問の数々を教員にぶつけ、アドバイスを求めてほしいと思います。こうした知的コミュニケーションがキャンパス内で展開されることを願っています。

心の成長
今述べた学修への取り組みの他、もう一つ大事なことがあります。それは心の成長です。心の成長は、人生において豊かな経験を積むことで促されます。皆さんは大学生になりました。皆さんを取り巻く環境、皆さんの見渡す世界がこれまでよりも広がるはずです。その広い世界でさまざまな機会を得て他者と関わり、交流してください。大学内における同世代とだけでなく、世代を超えてさまざまな人たちと交流してください。また大学の外でさまざまなコミュニティーに所属することも一つです。そのような環境に身を置き、多様な考え方・価値観に触れることはとても大切なことです。

本学には外国人留学生も多く在籍しています。日本人学生と外国人留学生との活発な交流・コミュニケーションが日常的に展開されることを期待しています。国を超えてさまざまな考え方・価値観があることを知り、それを理解し、受け入れてください。これは日本人学生にも外国人留学生にも言えることです。そうすることによって、皆さんの内にある考え方の依って立つところに奥行きと広がりができてくるはずです。奥行きと広がりがあると、物事を判断するにあたって、大局的でバランスのとれた判断を可能とします。こうした皆さんの内なる変化は、心の成長と言えます。心の成長と、先に述べた学修とは互いに良い影響を与えます。心の成長は学修にも良い影響を与え、逆もまた真なりです。

拓殖人材の育成
本学では「専門性」「国際性」「人間性」を兼ね備えた人材育成を目指しています。「専門性」は先に触れた学修によって養われます。それぞれの学部・研究科の「学位授与方針」に示す到達目標を達成するために体系的に配置されたカリキュラムを通して、懐疑的・批判的に、そして主体的に学修し、高い専門性を身につけてください。大学院生の皆さんには、この点はより高いレベルで求められることになります。修士課程・博士前期課程の教育目的とは「専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うこと」であり、博士後期課程のそれは「研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」です。しっかりと取り組んでください。
「国際性」の点では、広い視野で物事を見ることが出来るようになってください。皆さんの視野をこれまでより一段と広げて世界に目を向けてほしいです。世界で起きている出来事に関心を持ち、自分自身がどう世界と関わることが出来るのか、どう世界に貢献できるのか、想像力を働かせて考えてほしいです。語学運用能力を磨いたり、海外体験プログラム等を利用して異文化体験を積んだりすることは、視野を広げるためには有効な手段です。
皆さんの外側にある広い世界、さまざまなコミュニティーとの関わりを通じて、心の成長を図り、豊かな「人間性」を育んでください。授業だけでなく課外活動にも積極的に参加してください。本学には「麗澤会」と呼ばれる学生と教職員が一体となって課外活動を支援する伝統ある組織が存在します。「麗澤会」にはさまざまな部・サークルが属しています。ボランティア活動も盛んに行われています。広い世界で他者と触れ合うチャンスです。オレンジプロジェクトという学生と職員が協働するプロジェクトチームも皆さんを待っています。大学祭での活躍も期待しています。学生チャレンジ企画、社会人基礎力育成グランプリなど各種のコンテストに参加する機会もあります。

最後に
新型コロナウイルス感染症は、その発生から3年が経過し、ようやく落ち着いてきたようです。社会もコロナ禍以前の状況に戻りつつあるといえるでしょう。この間、皆さんは多くの制約の中にあり、様々な苦労を経験してきたと思いますが、これからは制約を受けることなく学生生活が送れることを期待しています。ただし、コロナ感染症が完全に終息した、あるいはするとは断言できません。今後もリスクの度合いに応じて基本的な感染対策には、気をくばらなければならないと思います。個々人それぞれの心がけが、全体を守ることに繋がるはずです。
皆さんは大学という新たな環境に身を置くことになりました。大きな期待を抱いていることと思いますが、多少なりとも不安はあるでしょう。学修は上手くいくのだろうか。友人はできるだろうか。親元を離れて慣れない独り暮らしをする人もいるでしょう。特に、外国人留学生の皆さんは、遠く母国を離れての生活となります。大学生活を送る上で大小さまざまな悩みが生じてくると思います。本学には、学生支援室を始めとして、学生の皆さんが大学生活全般にわたって充実した日々を送ることができるよう細やかにサポートする体制が整っています。新年度開始後数ヶ月は特に注意して、悩みや困ったことがあったらその種が小さいうちに遠慮することなく相談するようにしてください。
さあ、大学生活のスタートです。失敗を恐れずに、何事にも果敢に挑戦する強い気持ちを持って積極的に取り組んでいきましょう。皆さんが卒業する時に、自分自身の大きな成長を実感することができるよう充実した日々を送ってください。私たち教職員一同、皆さんの大いなる成長を心から期待しています。 以上をもって、告辞といたします。

以上

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