拓殖大学百年史 昭和前編

創立百年史編纂室ではこれまで百周年記念事業の一環として『拓殖大学百年史 資料編一~六』等を刊行してきました。これ等の資料を基に昨年度『通史 明治編』『大正編』を刊行いたしましたが、この度、『昭和前編』を刊行いたしました。
百年史は、更に『昭和後編・平成編』も刊行されています。

拓殖大学百年史 昭和前編

大学史の意義についてその権威で当編纂室の顧問でもあります寺﨑昌男先生(立教学院本部調査役)は近著(Between2009秋号)のなかで「大学は商品ではない。精神的・学問的共同体であることを本質とする。その大学にとって、特性(アイデンティティー)や存在理由を確かめることは、肝要な作業である。そしてその成果は、教職員、学生、さらには校友も含めた関係者すべてに共有されなければならない。それは『外向け』の作業でない。内側を肥やすための大学改革の一環である」と述べています。

本書を購入ご希望の方は、2,500円(送料別途)にて販売しておりますので、拓殖大学購買会(文京キャンパス及び八王子国際キャンパス)までお問い合わせ下さい。なお、明治編(1,200円)、大正編(1,500円)、昭和後編・平成編(2,800円)につきましても販売しておりますので、お問い合わせ下さい。本学学生の方は図書館に問い合わせ下さい。

お問合せ
拓殖大学購買会(有限会社学園サービス)
文 京キャンパス 03-3941-2903
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第二次大戦での敗北にいたる昭和前期は、日本の近現代史の中でも一段と複雑かつ不穏な時代であった。大正期に頂点を極めた日本の国際的地位が、その末年から転じて急峻な下り坂を転げ落ちていったかのごとき様相を呈したのである。

(中略)この苦難の時代の中にありながら、否、それ故であろう、本学は朝鮮研究、満州研究、中国研究、南洋研究において国内で有数の研究業績を積み上げ、さらに本学学生のアジアへの関心はいやがうえにも昂揚した。パリ講和会議で日本が国際連盟規約に盛り込まんとして要求した人種差別撤廃が反故とされたことに怒りの声をあげ、欧米列強の植民地支配下で呻吟するアジア諸民族の解放と独立を求める「義侠」の精神が日本の若者や知識人の間で発揚された。本学の学生と卒業生は、常にそうした精神運動の中核にいた。

アジア各地の戦線で従軍通訳として活躍し、更にはインドネシアの独立闘争に身を投じた学生たちの行動の記録もある。志ならず日本は敗戦へと突き進み、学徒出陣兵として戦地に赴き、特攻隊員として散華していった学生の手記には胸迫るものがある。

昭和前期の日本とこれを取り巻くアジア情勢、その中で本学の学生と卒業生たちがいかにしてその生を全うしたのか、その息苦しくも激しく輝いた時代の記録が、本書である。

(渡辺利夫学長「発刊のことば―国運の中の拓殖大学」より抜粋)

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